ホムドクスクエア

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ふるえのように自分の意志とは無関係に動く体の一部の動きを不随意運動といいます。不随意運動の中では、手のふるえがもっとも起こりやすく、加齢とともに頻度が増してきます。

 

【ふるえの主な原因疾患】

高齢者の手のふるえ(振戦)をみた場合に、鑑別が必要な病気や原因としては以下のようなものです。
 
パーキンソン病

パーキンソン病は脳の黒質という部分の変性が原因で起こる難病の一つです。初期症状としては、安静時に手などのふるえ(振戦)の他、筋肉の硬直(腕を屈伸させると歯車様のコクンコクンとした抵抗を生じる)が起こりますが、進行するにつれ"表情の変化が乏しくなり、動きも悪くなる"などの症状がみられるようになります。パーキンソン病の診断は一般医では困難で、専門医の診察が必要になります。

 

本態性振戦および家族性振戦

本態性振戦は人口10万人に対して1000人以上の頻度(パーキンソン病の10倍以上)でみられる遺伝的素因が深く関与している手のふるえです。脳には全く異常はみられません。家族性に発生するときは思春期から青年期に発症し、同一家族内に同じような手のふるえを認めます。

 

老人性振戦

老人性振戦はパーキンソン病による振戦とよく似ていますが、意識するとかえって手のふるえが強くなり、他のパーキンソン病の特徴がみられません。振戦は腕、頭、下顎、唇に著明です。本態性振戦が高齢になってから発症したものと考えられています。

 

薬剤性振戦

薬剤性振戦は診察室で比較的良く遭遇します。制吐剤(プリンペラン)や抗潰瘍薬(ドグマチール)などの服薬で、手のふるえが現れることがあるので注意が必要です。とくに新しい薬を飲み始めてから不随意運動が起こってくると薬による影響を疑います。原因のはっきりしない不随意運動では、薬を中止する事も有用な方法です。

 

中毒性振戦

中毒性振戦は内科的な病気や、アルコール、タバコ、水銀、コカイン中毒などでみられることがあります。この中では、特に甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)の頻度が高く、体重減少、暑がり、発汗等の症状が伴えば、強く疑います。

 

【本態性振戦とパーキンソン病のちがい】

臨床的には、本態性振戦とパーキンソン病による手のふるえが最も多く、この2つの病気の鑑別が重要です。パーキンソン病の手のふるえは安静時に出やすく、何か動作をしようとするとふるえが軽くなる特徴があります。逆に本態性振戦のふるえは静止時には起こりにくく、字を書くとか物を持つ時など何かしようとするときにふるえが強くなります。また本態性振戦は飲酒で軽くなりますが、パーキンソン病のふるえは飲酒に影響を受けません。パーキンソン病は進行性に症状が悪化しますが、本態性振戦は何年も悪化することはありません。 手のふるえなどの不随意運動の診断は一般医には診断が困難なことが多いため、神経内科医の専門的な診察と診断が必要になります。

 

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