認知症と車の運転①・・急増する認知症と軽度認知障害(MCI)

2013-12-25

認知症の外来をしていて、問題となるのが車の運転です。軽度の認知症の場合、できるだけ社会参加を指導しておきながら、車の運転を禁止することは、全く相反する事になります。しかし、車の事故には被害者ありますので、微力ながら認知症と車の運転については、正しい情報を発信し続けたいと思っています。

最新の厚労省研究班の推計によると、“65歳以上の高齢者のうち認知症の人は15%で約7人に1人、2012年時点で462万人にのぼる。さらに軽度認知障害(MCI)と呼ばれる「予備群」も約400万人います。”正確に診断すると、7人に2人は、認知症もしくはMCIであり、車の運転は避けるべきなのです。

国立長寿医療研究センターの荒井由美子氏は 認知症の原因別に運転行動の特徴を指摘しています。
<アルツハイマー> 運転中に行き先を忘れる・駐車や幅寄せが下手になる
<ピック病(前頭側頭葉変性症)> 交通ルール無視・運転中のわき見・車間距離が短くなる
<血管性認知症> 運転中にぼーっとするなど注意散漫になる・ハンドルやギアチェンジ、ブレーキペダルの運転操作が遅くなる

私個人の感想では、これにMCIの特徴として、”知らないうちに車に傷をつけている“”運転自体はできるが、とっさの際にアクセルやブレーキを間違える“という特徴がみられます。

それでは、認知症もしくは認知症予備軍のドライバーをどうやってチェックするのでしょうか?現在の運転免許証の更新制度では、70歳以上は教習所で講義や実際の運転を含めた「高齢者講習」を受ける必要があります。さらに、75歳以上は判断力を測るため、更新時に「講習予備検査」(認知機能検査)が義務づけられています。検査は、年月日など時間の認識を問う、文字盤の時計を読む、などが主な内容で、運転の実技はありません。


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点数によって3段階に分類され、その結果にかかわらず、いったん更新できてしまいます。つまり、本人が希望すれば、家族がどれだけ頼んでも免許は更新できてしまうのです。私の患者さんでも、どれだけ家族が説得しても、運転している方も見えます。正直、“家族が必死に説得しても納得しない”時点で認知症は相当進んでいるですが・・

警察庁の言い分としては、「講習予備検査は認知症の診断をするものではないので、検査の結果のみをもって免許を取り消すことはできない」(広報室)と説明しています。確かに、この発言はやむを得ないとも思います。

平成25年6月に公布された改正道路交通法では、運転免許を持つ認知症などの患者について、医師が任意で診察結果を都道府県の公安委員会に届け出られる仕組みが盛り込まれました。医師の守秘義務違反の例外とされ、公安委は本人に臨時適性検査を受けるよう通知できるそうです。来年に施行予定ですので私の外来患者さんでは、届け出る必要が出てきそうです。

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