毎年、50回程の講演をしていますが、20回程は10月・11月の2か月に集中します。やはり、4月から年度が始まり、講演を検討すると半年先に日程が決まるからでしょうか?ということで今年もこの時期は、週2回以上のペースで講演をしています。平成26年10月18日(土)は、名古屋大学の市民公開講座で4人の演者の一人として参加させていただきました。ノーベル賞の熱気冷めやらぬ名古屋大学です。当日は、受賞記念講演会も開催され、大学は凄い人です。その中で、“認知症と戦う”という市民公開講座にも100名以上の方が集まっていただきました。ちなみに会場は、ノーベル賞受賞記念に建てられた、野依記念学術交流館でした。
演者は、私以外の3名は国公立大学の教授という凄い顔ぶれでした。その上、名古屋大学の卒業生と一般の市民の方々が混在するという不思議な聴衆でした。そのため、私の前の2人の質問も、市民公開講座とは思えなレベルの高い質問でした。
しかし、私の後ろに座ったおばあちゃんが『難しすぎて良く分からん。もう帰る』と言われているではないですか!思わず前半2人が終わった休憩中に、『今度の話は難しくないから、もう少し聞いてくださいね』と声をかけさせていただきました。幸い、講演後はおばあちゃんもにっこり。その上、私が会場を出るのを待って、二人の方から講演の依頼を戴きました。
実は、これが現状です。認知症については、多くの医師が専門外です。そのため、いまだに“年を取れば誰でも認知症”という間違った知識を持った医師が多く見えます。一方で、認知症の最先端で研究をされている方は、分かり易く患者さんに伝える術を持っていません。そのため、私のような一開業医でも、友達の輪のように講演依頼を戴けているのです。
ちなみに、製薬メーカの処方量から類推すると、本当に“認知症患者さんを診て、患者さんが集まっている医師”は、な~んと全国で100名程度です。現在の認知症の患者数は462万人。認知症においては、良い医師に巡り合うことも至難の業です。