高価なMRIに負けない、ハンマーの有効性

2012-03-21

皆さん、お医者さんの持ち物というと何を思い浮かべますか?

通常は、聴診器を思い浮かべるのではないでしょうか?

我々、神経内科医は聴診器だけでなく、ハンマー【打鍵器】を持ち歩きます。

写真のように、先がゴムで出来ている、たわいもない物ですが、これを使いこなすことで得られる情報は莫大です。

四肢の反射を、手軽に誘発することができる上、運動系(錐体路系)障害や末梢神経障害の診断の目安となるため神経学的検査として頻繁に用いられます

使い方は、患者さんには上向けに寝てもらいます。

手足の力を抜いてもらって、太い骨格筋につながる腱を、筋が弛緩した状態で軽く伸ばし、ハンマーで叩きます。

すると、一瞬遅れて筋が不随意に収縮します。

この反射が、正常であるか、亢進しているか、左右差があるか無いかで診察をします。

これが観察しやすい箇所はいくつかあって、有名なところでは、膝蓋腱反射があります。

古い人では、“脚気の検査?”といわれる方が見えます。

これはビタミンB1不足により脚気になると末梢神経障害を起こし、反射が低下することで診断されるのです。


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しかし、現在ではインスタント食品に偏った食事をしている方に脚気を見る事もありますが、頻度は少ないです。

それよりも、糖尿病による末梢神経障害の方が激増中です。

足の痺れを主訴として受診された患者さんの四肢の反射が低下しており、そこから糖尿病が見つかるケースも結構あります。

また、同じ脚の痺れの患者さんでも、反射が亢進している場合は、脊髄の圧迫が原因である事が予想されます。

最近では、個人の開業医レベルの整形外科でもすぐにMRIを撮影する傾向がありますが、ハンマー一つあれば、MRIは不要です。

数千円の安いハンマーですが、何千万もするMRIに負けない診断をすることさえ可能なのです。

長年、使えてくれているハンマー?に感謝です。

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