先日、校医をさせて頂いている中学校の内科健診をしてきました。皆さんも学生時代や人間ドックで内科健診を受けられたことがあるのではないでしょうか?ところで医師は、聴診器を胸に当て何を聞いているのでしょうか?
内科健診は、大学などでは研修医1年目の仕事でした。1年目では聴診器の音も正確には聞き取れませんから、先輩医師に不安を訴ええると、『正常な心臓の音を聞いて来い』と言われたものでした。内科健診における聴診では、まず心臓に雑音がないかを聞きます。もっとも注意するのは弁膜症です。しかし、治療が必要なほどの弁膜症であれば、大人になるまでには何らかの症状が出ているものです。ある意味、先輩医師の言葉には根拠はあるのです。実際に、中学生でも弁膜症がある子は、定期的な経過観察がされているか、手術が済んでいます。
私は、日頃高齢者の心臓の音ばかり聞いています。ですから中学生の心臓の音を聞くと、生命力を感じます。無駄な脂肪がない男子学生などでは、胸壁から心臓が動いているのが見えます。そこに聴診器を当てるわけですから、耳が痛いほどです。眼球に光を当てて対光反射を見る場合でも、高齢者に比べ若者の反応は素早いものです。心臓の動き、神経の反応すべてが若い人は元気なようです。
こんなことを感じながら今年も内科健診は終わりました。以前は学生も多く、1日に500人近い聴診をして、耳の穴が痛くなったものでした。最近では少子化のためか200人弱で済んでしまうのは少し寂しいものです。