認知症になった祖父は、食べた事も忘れてしまい“何も食べさしてもらっていない”と言っていました。風呂に入ると、トイレットペーパが湯船に浮いており、毎日祖父に一番に入浴してもらい、その後、湯を入れ替えていました。その他にも、被害妄想もあったようです。
そんな中、たまに来る叔父や叔母の前ではとても調子がよく、その事が両親の介護負担を重くさせていたようです。しかし、そんな祖父も徐々に弱り、数年後には食事が取れなくなり永眠しました。その時に、認知症の家族としての経験を活かせる人生を送りたいと考えました。
その後、医学部を目指す際、医師になってから専門を選ぶ際、開業をする際、一度も迷う事がありませんでした。これも認知症であった祖父のお陰であると感謝しております。
最近では、半径100km圏内の患者さんも当院を受診していただいています。また講演や専門学校や大学の非常勤講師もさせていただいています。これらも、祖父の導きであると思うと貴重な経験をさせてもらったと感じています。