先日、患者さんとお話をしていると、医師が処方しているバファリンと、市販されているバファリンが同じものと思っていたとのこと。医師の間では常識でも、患者さんは勘違いしているのだと、改めて情報提供の難しさを感じました。
目次
1.医師が処方するバファリンとは?
医師が処方するバファリンの主成分は、アスピリンです。アスピリンは高用量では、熱冷ましや痛み止めの目的で処方します。一方、「低用量アスピリン」は、血小板の凝集を阻害することで、血栓を作らないようにする作用があります。そのため脳梗塞や心筋梗塞の予防として使用します。具体的な薬品名としては、バファリン配合錠A81が良く処方されています。以下の記事も参考になさってください。
2.市販されているバファリンは?
市販されている、バファリンシリーズには、複数のお薬の成分が配合されています。例えば、バファリンプレミアムだと、「イブプロフェン」、「アセトアミノフェン」といった解熱鎮痛成分、「無水カフェイン」、「アリルイソプロピルアセチル尿素」といった鎮痛補助成分、「乾燥水酸化アルミニウムゲル」の制酸成分などが含まれています。
3.鎮痛作用はどちらが強いの?
これは医師が処方する、アスピリンが含まれるバファリンの方が鎮痛成分は強いです。その分、胃腸に対する負担も重いため胃薬も一緒に処方することが多いです。一方で、市販のバファリンに含まれる「イブプロフェン」、「アセトアミノフェン」といった解熱鎮痛成分の効果は、アスピリンに比べ緩やかです。そのため、脳神経内科専門医として頭痛を診察する場合も、市販薬が効果があるレベルは軽症と判断します。
4.市販されているバファリンには脳梗塞や心筋梗塞の予防効果はない
あくまで血栓の予防効果がある成分はアスピリンです。同じバファリンという名前でも、市販薬をどれだけ飲んでも、脳梗塞や心筋梗塞の予防効果はありません。
5.まとめ
- 同じバファリンでも、市販薬と医師が処方するものでは内容が異なります。
- 医師が処方するバファリンはアスピリンが含まれ鎮痛効果以外に、脳梗塞や心筋梗塞の予防効果があります。
- 市販のバファリンに含まれる「イブプロフェン」、「アセトアミノフェン」といった解熱鎮痛成分の効果は、アスピリンに比べ緩やかです。