軽視しないで!重症化しやすい大人の水ぼうそう【総合内科専門医が解説】

軽視しないで!重症化しやすい大人の水ぼうそう【総合内科専門医が解説】

水ぼうそう(水疱瘡)というと子供さんの病気と思われがちですが、実は大人の方が発症することもあります。医療系の学生が、実習の際に感染したり、子供さんから親御さんが感染したりすることもあります。その場合、子供さんに較べ、症状が強く出る傾向があります。子供では数日で治る水ぼうそうも大人では治療に時間がかかったり、のちに影響を残しやすくなります。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が、大人の水ぼうそうについて解説します。

1.水ぼうそうとは

水ぼうそうとは、ウイルス感染症で子供に多い病気ですが、大人でも感染・発症します。

1-1.大人でもかかる理由

最近では、水ぼうそうの予防接種のおかげで、かかる人も減っています。そのため、水ぼうそうのワクチンを接種していなくても、感染しないで大人になる方もいらっしゃいます。ワクチンも打たず、かかったこともない人は、大人になってから感染する可能性があるのです。

1-2.終生免疫が得られるはずだが

人間は、ウイルスや細菌など異物が侵入してくると、リンパ球や抗体によって排除します。異物を排除した後もその異物を記憶していて、再び同じものが入ってくると、すぐさま排除することが可能です。この働きを「免疫」と呼び、その中でも一生その感染症にはかからない免疫を「終生免疫」と言います。水ぼうそうや流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は終生免疫です。

1-3.帯状疱疹は再感染ではない

水ぼうそうは、終生免疫ですから二度とかかることはありません。しかし、水ぼうそうのウイルスは、感染後に脊髄神経の根本で眠っています。疲れやストレスなどで免疫が低下してくるとウイルスが再活性化して「帯状疱疹」として水疱や発疹が出てくることがあるのです。帯状疱疹については以下の記事も参考になさってください。

2.大人の水ぼうそうの症状

水ぼうそうの症状は、大人であろうが基本的な症状は同じです。

2-1.発熱・倦怠感が先行することも

子供さんの場合は、発疹と発熱が同時に起こることが多いのですが、大人の場合は、最初に発熱や倦怠感といった症状が強く出ることがあります。

2-2.皮膚症状

発疹は、小さな斑点様で、水の袋を持った水疱がある点がポイントです。顔・腹部・腕・足に多く出現します。発疹は、痒みが強く、同時に痛みを伴うこともあります。水疱を潰してしまうと、痕になることが多いので、できるだけかゆみを我慢しましょう。

2-3.痂疲化するまでは

水ぼうそうの場合、発疹が「痂皮化=カサブタ」になるまでは、他人にうつす可能性があります。大人の方であれば、約1週間程度で、痂皮化します。それまでは、不要不急の外出は控えてください、

3.大人の水ぼうそうの怖い合併症

大人が水ぼうそうになる場合、子供に比べ、熱が高くなり、発疹も痒みが強くなることが多いです。重症化すると肺炎、髄膜炎、脳炎を発症することもあります。

3-1.気管支肺炎

熱だけでなく、咳、呼吸困難、息苦しさを伴う場合は、肺炎の合併を疑います。早急に血液検査、胸部XPの撮影で診断・治療が必要です。肺炎であれば、抗生剤等による治療が必要になります。


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3-2.髄膜炎

発熱に伴って、頭痛を伴う場合は、意識レベルが正常であれば、ウイルス性髄膜炎の合併を疑います。ウイルス性髄膜炎には、特別な治療はなく、安静で改善します。日本であれば、入院適応になりますが、海外では自宅安静となることが多いようです。

3-3.脳炎

発熱と頭痛だけでなく、意識レベルも混濁する場合は、脳炎の合併も疑われます。この場合は躊躇せずに、診療所でなく病院への緊急受診をしてください。

4.水ぼうそうにかかった記憶がなければ

子供の頃に水ぼうそうにかかったり予防接種をした記録が残っていなければ一度抗体検査をするといいでしょう

紹介したように、大人の水ぼうそうは怖いものです。水ぼうそうにかかった記憶もなく、ワクチンも接種した記憶がなければ、以下の対応をしましょう。

4-1.抗体検査

水ぼうそうにかかったか否かを血液検査で調べます。健康保険は適応されませんので、自費診療となります。水ぼうそうの場合、かかった記憶がなくても、抗体が付いている方も結構いらっしゃいます。この場合は、知らないうちに、軽い症状でかかっていたと考えます。抗体検査の費用は、5000円前後の医療機関が多いようです。

4-2.ワクチン接種

抗体検査で陰性(=抗体を持っていない)であれば、ワクチン接種がお勧めです。ワクチン接種の費用は、8000円前後の医療機関が多いようです。

4-3.水ぼうそうの患者さんに接してしまったら

水ぼうそうにかかった記憶もなく、ワクチンも接種した記憶がない方が、患者さんに接した場合は、どうすればよいでしょうか? 水ぼうそうの場合、潜伏期間は約14日です。患者さんと接してから72時間以内にワクチンを接種すれば、発症を抑える効果があります。

この場合、抗体検査は行いません。仮に抗体があってワクチン接種をしても問題はありません。かえって、ブースター効果でより効果があると考えてください。

5.まとめ

  • 大人が水ぼうそうになると、子供に比べ、熱が高くなり、発疹も痒みが強くなることが多いです
  • 高熱に伴って、意識が混濁した場合は、脳炎の合併も疑われるので緊急受診が必要です。
  • 子供の頃に水ぼうそうにかかった記憶もなく、ワクチン接種していなければ、ワクチン接種を検討しましょう
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