映画山本五十六の中では、家族との食事のシーンが2回ほど描かれていました。
父親を中心に家族全員が正座をして食事をしています。
おかずは、ご飯とみそ汁と煮物と漬物だけでした。
最初から漬物を食べている子供には、“漬物は食事の最後に食するもの”と食べる順番にまで父親が細かく指示をしていました。
父親だけには、魚がついており、カレイの煮つけの片面を子供3人と奥さんに分け与えていました。
それに対して、それぞれが“ありがとうございます”と頭を下げている点が印象的でした。
さて、この食生活では明らかに栄養のバランスが炭水化物に偏って、タンパク不足です。
そのうえで食塩の摂取が増えざるをえません。
もちろん血圧を下げる降圧剤がない時代ですので、脳出血・脳梗塞が頻発していたと想像されます。
そこで当時の平均寿命を調べてみました。
「平均寿命」とは「各年における0歳児の平均余命」を指します。
例えば2010年の女性の平均寿命は86.39歳なので、「2010年に生まれた女性は、社会情勢などで大きな変化が無い限り、平均的に86.39歳まで生きられる」ことを意味します。
「2010年時点で亡くなった女性の平均年齢が86.39歳」ではありません。
一番古いデータの1891年~1898年では男性42.8歳・女性44.3歳。
以後少しずつ近代化と共に上昇を見せますが、1921年~1925年には大幅に減少しています。
これは1918年から世界的に大流行したスペイン風邪、そして1923年に発生した関東大震災によるところが大きいそうです。
ちなみにスペイン風邪とは現在のインフルエンザです。
当時の平均寿命にまで影響を与えるほど猛威を奮ったのです。
いずれにせよ戦前は、「50歳ライン」を超すことは叶わず、戦後の1947年調査で初めて男女とも平均寿命が50歳を超えることになったのです。
半世紀ほどの日本では、現在の現役真っ盛りの50歳ですら、平均寿命では生き長らえるのが難しい年齢だったのです。
これにはかなり食生活も影響していたと思われます。
それが数多の環境整備・各方面の努力によって現状のような、80歳前後の平均寿命という現状が成し得られていることを、改めて認識するべきではないでしょうか。