先日、私が懇意にしている画廊『ギャラリータカミ』が25周年を迎えました。どんなビジネスでも10年継続するだけでも大変です。統計上100社が起業しても利益が出て継続できる法人は2-3社と言われていますから、25周年を迎えることは尊敬に値することです。
そのうえギャラリータカミさんの開店は、ちょうどバブルがはじけた平成の初めです。バブル時代には、絵画も高値で取引をされて画廊さんも羽振りが良かったようですが、その後は不動産やゴルフ会員権と同じように不況に陥った業種です。そんな逆風の中、さらに名古屋の中心部から少し外れた場所でありながらの、25周年は価値のあるものだと思います。
これも、オーナーの内田彰さんの人柄だと思います。画廊というと、敷居が高いものです。“美術の知識が無ければ、相手にもされないのでは?“高額な絵を無理やり買わされるのでは?”と思ってしまうものです。(実際そのような画廊も結構あります)
その点、内田さんは初めてお会いした時に、『食事と同じように、美味しい、美味しくないで判断してください。その時に、理由はいりません』とアドバイスいただきました。その言葉のお蔭で、とても気楽に絵を鑑賞することができるようになりました。その後初めて、西村計雄さんの3号の油絵を購入しました。自分としては、清水の舞台から飛び降りるような値段でした。しかし、家に帰り部屋に飾ると、日常で忘れがちな心の豊かさを見事に引き出してくれました。これこそまさに内田さんの、”本物に触れ、心の豊かさを味わって頂きたい”という理念通りともいえます。
それ以降も、決して押し売りされることなく、年に1-2回電話がかかってくる程度です。会話の中で自分が気になっている作家の作品があると、声をかけてくれます。お蔭で篠田桃紅、中川一政、林武、長谷川利行、藤田嗣治など少しずつコレクションも充実してきました。最近では購入する絵のグレードを上げることが、自身のステージを上げているような気がしています。
世の中には、どこにでも絵が飾っています。その一枚一枚には、画家やそれを掛けた人の“こだわり”があるのです。しかしそんな“こだわり”も、関心が無ければ全く情報として認識しません。絵に無関心な方も、少し飾っている絵に関心を持ってみて下さい。とても人生が豊かになります。そして、こんな習慣が認知症の予防にもつながるのです。
素敵な、絵画を紹介いただいているギャラリータカミさんには感謝するとともに更なる発展を期待しています。