平成26年11月9日(日)に西村計雄さんのアトリエを訪ねました。“なんでも鑑定団”への出品から、ご遺族の方とのご縁を頂いたためです。北海道には西村計雄美術館がありますが、東京大田区の西村先生のアトリエも一般に開放されています。
アトリエは、大田区千束の閑静な住宅地にあります。部屋に入ると、西村先生の絵が年代別に整然と飾られています。パリでの展覧会のポスターも所蔵されていました。ポスターには藤田嗣治や長谷川潔との合同展覧会もあり、扁桃核は大興奮です。当日は、日曜日の朝でありながら長女さんにご案内いただきました。西村先生が一人パリに渡って、ご家族を呼び寄せる前に、先に長女さんだけを呼び寄せた話。パリのノートルダム寺院の近くの自宅の話や、一区画先にピカソが住んでいた話。また相続時の絵画の評価方法についてまで教えていただきました。私の所有している“bamboo(竹)”は、パリのご自宅に2年ほど飾られていたそうです。
「日本人画家・西村計雄は、1961年から1993年まで、 この建物の 3階(日本では4階)に住み、絵を描いていた」
黒御影石にこう刻まれた記念プレートが、かつて西村計雄が住居兼アトリエとして過ごしたパリ中心部にあるアパルトマンの入口に取り付けられています。パリ市により記念プレートの設置が許可されたのは、日本人画家としては初めてのことです。ピカソと同様に住んでいた家に“プレート”を掲げることが許されている話は、西村先生のフランスでの名声を裏付けるものでもあります。
ピカソを世に送り出した、カーンワイラーが西村先生を見出したことからも、西村先生自身も多分にピカソを意識していたようです。戦後間もない時代での世界的なスケール感を考えると、改めて敬意を表したいと思いました。是非、皆さんも西村計雄さんのアトリエを訪問されることをお薦めします。その際は、電話で予約してからお出かけください。