インフルエンザや新型コロナの検査キットの偽陰性に注意

インフルエンザや新型コロナの検査キットの偽陰性に注意

最近、高熱を出して医療機関を受診したがインフルエンザもコロナも検査キットで陰性で原因が分からないという方が増えています。医師も含め勘違いをしている人が多いのですが、検査キット自体の精度は100%ではありません。つまり、100人のコロナやインフルエンザの患者さんがいても、一定数は検査結果が陰性になるのです。このような間違った陰性を「偽陰性」と言います。今回の記事では認定内科専門医の長谷川嘉哉が「偽陰性」及び「偽陰性を避ける方法」をご紹介します。

目次

1.検査キットには偽陰性がある

本当は病気にかかっているのに、陰性の結果が出てしまう場合を「偽陰性」と言います。

1-1.インフルエンザの偽陰性率は?

検査によって、正しく「ウイルス保有者である」と判断できる割合を、その検査の「感度」といいます。検査が当たり前になっているインフルエンザキットでさえ感度は60〜70%程度です。感度を考えると、陽性である場合の確定診断には有用ですが、陰性であることを証明するには信頼性が劣ります。つまり、検査で陰性であっても実は陽性である可能性があるのです。

1-2.コロナ検査キットの偽陰性率は?

コロナウイルスの検査はPCR検査法の感度でさえ70%ともいわれます。そもそも、その感度自体も不明なのです。ですから検査キットの場合は、それ以下の感度しか期待できません。

2.あくまで検査キットの結果は補助的

「偽陰性」があるため、我々医師は、ウイルス検査キットの結果はあくまで補助的に使用します。症状、診察所見、家族歴からインフルエンザやコロナ感染が疑われれば、検査キットが陰性でも治療をします。診断には何よりも丁寧な病歴聴取が必要であることがご理解いただけるのではないでしょうか?

3.「偽陰性」を防ぐために

陽性と診断された場合の診断的意義は高いわけですから、患者さんとしてはできるだけ「偽陰性」にならないようする必要があります。

3-1.発熱後すぐに受診しない!

患者さんによっては、発熱したらすぐに診てもらいたがります。しかし、正確な診断のためには、最低発熱後8時間は時間を取りたいものです。患者さんによっては、8時間待っただけでも解熱する方も結構いらっしゃいます。

3-2.わがままな患者さん

しかし、患者さんの中には、発熱後8時間の受診をお薦めしても、「ならば他の医療機関を受診する」と言われる方が結構います。医療機関の中には、「偽陰性」のことを知ってなのか、知らないのか、発熱後すぐにでも診察してくれるところがあることが不思議です。


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3-3.発症すぐの陰性は意味がない

もちろん発熱直後でも、検査が陽性になれば診断的意義はあります。しかし、陰性であれば、この結果には何の意味もありません。かえって本当は感染しているのに、陰性という言葉に安心して外出して感染を広める危険性さえあるのです。

4.発熱患者さんには、緊急のCRPと白血球の測定が有効

発熱の患者さんの場合には、発熱後の時間を空けるとともに緊急のCRPと白血球の測定をお願いしたいものです。機械の値段が数百万円するため所有している医療機関が限られますが、その情報量は絶大です。検査でCRPと白血球の上昇が認められれば、ウイルス感染はかなり否定されます。この場合は、積極的な抗生剤治療を行います。常日頃、CRPや白血球の検査ができる環境で診療している自分は、測定できない休日診療所での診療は、とても不安を覚えるものです。

*CRP:C-reactive protein(C-反応性タンパク)の略。炎症性疾患や体内組織の壊死がある場合に、増加する血しょうタンパクのひとつ。

5.陰性証明書は無意味

学校や企業の中には、ウイルスに感染していないことを証明する「陰性証明書」を要求してくることがあります。これだけ高率に「偽陰性」が認められることを考えると、正確な「陰性証明書」を書くことは理論上、不可能なのです。

6.まとめ

  • 本当は病気にかかっているのに、陰性の結果が出てしまう場合を「偽陰性」と言います。
  • インフルエンザや新型コロナの検査キットには「偽陰性」がかなり認められます。
  • 正確な診断のためには、最低発熱後8時間は時間を取りたいものです。
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