テレビと映画
似ているようで
脳への刺激は異なります。
テレビは、極めて受動的です。
自らの意思が介在することはなく
一方的に刺激が入ってくるだけです。
認知症初診の患者さんに
「日中は自宅で何をされていますか?」
と質問すると、
「何もしていないで、一日
テレビのお供をしている」
という方が、本当に多くいらっしゃいます。
現役で働かれている方には
想像できないかもしれませんが、
引退すると、本当に何もすることがない。
それが、今日も明日もどこまで続くのです。
こうなると、人間の脳は間違いなく衰退します。
その際に、能動的にテレビをつけても
これは刺激にはなりえません。
一方で、同じ画面を観るのでも
映画は異なります。
初めに、「映画を観よう」という意思が必要です。
さらに、「どんな映画を観よう」かで、期待感が膨らみます。
実際に、鑑賞が始まれば、わくわく、ドキドキ、ハラハラと
感情を司る扁桃核が刺激されます。
認知症は記憶を司る海馬より
感情を司る扁桃核が先に
委縮することが知られています。
まさに、
“映画を観れば脳がたちまち若返りだす”のです。
年をとっても、億劫がらずに
映画を見続けたいものです。