近年、「骨卒中(こつそっちゅう)」という言葉が注目を集めています。これは正式な医学用語ではありませんが、骨に関わる深刻な障害を脳卒中になぞらえた表現として使われており、特に高齢者にとって重大な健康リスクとなっています。今回は、骨卒中とは何か、その原因、症状、そして予防法について詳しくご紹介します。
目次
1.骨卒中とは?
「骨卒中」は、主に転倒や軽微な衝撃によって引き起こされる骨折、特に大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)や脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)などを指します。これらの骨折は、移動能力の喪失、寝たきり、さらには寿命の短縮にもつながる深刻な結果をもたらすため、「骨の卒中」として警鐘を鳴らす意味合いがあります。
2.主な原因
骨卒中の主な原因には以下のようなものがあります:
- 骨粗しょう症(こつそしょうしょう):骨密度が低下し、骨がもろくなっているため、わずかな衝撃でも骨折を招きやすくなります。
- 加齢:年齢とともに筋力が低下し、バランスを崩しやすくなります。
- 生活習慣:運動不足、カルシウムやビタミンDの摂取不足、喫煙や過度の飲酒なども骨の健康に悪影響を与えます。
3.骨卒中のリスク
骨卒中は特に高齢者に多く見られます。骨折をきっかけに日常生活が困難になり、介護が必要になるケースも少なくありません。また、長期の入院や寝たきり生活によって、認知症や肺炎、血栓などの二次的な健康リスクも高まります。
4.予防法
骨卒中を予防するためには、以下のような対策が重要です:
- 定期的な骨密度検査を受け、自身の骨の状態を知る。
- バランスの良い食事:カルシウム、ビタミンD、たんぱく質をしっかり摂取する。
- 適度な運動:特に筋力トレーニングやバランス運動が効果的です。
- 転倒防止対策:家の中の段差や滑りやすい場所をチェックし、手すりの設置など安全な環境を整える。
5.まとめ
骨卒中は、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性がある深刻な健康問題です。しかし、早めに対策を講じることでリスクを大幅に下げることができます。特に高齢の方や骨密度に不安がある方は、今すぐ生活習慣の見直しを始めてみましょう。

認知症専門医として毎月1,000人の患者さんを外来診療する長谷川嘉哉。長年の経験と知識、最新の研究結果を元にした「認知症予防」のレポートPDFを無料で差し上げています。