認知症予防にも旅行にも!専門医が「京都検定」をお勧めする理由

認知症予防にも旅行にも!専門医が「京都検定」をお勧めする理由

平成30年12月9日に第15回京都検定の試験が行われました。ご当地資格は全国で見られますが、京都検定は相当本格的です。毎年1万人近い人が受験し、ついにのべ10万人以上の方が受験していました。実は、私も京都検定の受験を志し、相当なる勉強のうえ2級と3級に同時合格しました。

普通のご当地試験は合格すればそれまでですが、京都検定は合格してからが楽しいのです。そのうえ受験勉強は大変ですが、合格へのプロセスを考えると、まさに認知症予防につながるのです。今回の記事では、認知症専門医の長谷川が認知症予防の観点から京都検定受験をお勧めします。京都が好きな方、どうせなら京都検定まで受験してみませんか?

1.京都検定とは?

京都検定とは、京都についてあらゆる切り口で「京都通の度合い」を認定する検定試験です。試験内容は、歴史、史跡、神社、寺院、建築、庭園、美術、伝統工芸、伝統文化、花街、祭と行事、京料理、京菓子、ならわし、ことばと伝説、地名、自然、観光学など、京都に関すること全般から出題されます。

勉強をしていると、「こんなことまで聞く?」と不満を持つこともありますが、文句があれば受験しなければよいだけですから、だまって情報を詰め込みます。しかし、だからこそ合格した時の喜びは格別です。

2.受験者数と合格率

Students writing test
毎年たいへん多くの方が受験している人気資格です

京都検定試験日は毎年12月の第2日曜日です。そして平成30年12月に第15回目が行われました。第14回目までの総受験者数が、10万3558名ですからかなりの受験者数です。受験は1級から3級まであり、それぞれの過去14回の受験者数と合格者と合格率をご紹介します。

受験者数 合格者 合格率
1級 11,610 969 8.3
2級 37,926 12,963 34.2
3級 54,022 26,588 49.2
総合計 103,558 40,520

この試験は、あくまでも受験者が受けたくて受験するものです。それにしては、合格率はかなり低く難易度は高いことがわかると思います。

3.京都検定は2級でも凄い・・さらに1級は別世界とは

よく、「京都検定2級を持っています」とお話しすると、「1級ではないのですか?」と質問されます。確かに、どうせなら1級が理想です。しかし、京都検定は合格率をお示ししたように、3級でも合格率は50%以下です。何も勉強しなければ、間違いなく落ちます。私はファイナンシャルプランナー3級の資格も持っていますが、京都検定の方がはるかに難易度は高いです。

2級については、3級よりさらに難易度は上がります。具体的にご紹介すれば、「足利将軍家の菩提寺は?・・等持院」・・これは3級レベルです。2級レベルになると、「足利将軍家の菩提寺にある茶室の名前は?・・清漣亭(しょうれんてい)」となります。勉強していなければ3級でも全く歯が立ちません。

ちなみに2級と3級はマークシートですが、1級は記述になります。この場合、漢字も厳しくチェックされます。例えば、京都の嵐山に、「源氏物語」の光源氏が造営したと言われる「清凉寺(せいりょうじ)」という寺院があります。通常は「さんずいの涼」ですが、清凉寺の場合、「にすいの凉」になります。ここまで厳しくチェックされるのが1級レベルです。そのため1級の合格率は14回の合計では8.3%ですが、第14回では合格者はわずか18名。合格率は2.2%しかありません。そのなかには一度合格しても毎年受験するマニアまでいるので1級合格は別世界といえます。

4.京都検定合格のメリットは

京都検定に合格すると資格証だけではない、いろいろなメリットがあります。

4-1.京都の人には敬意を表される

京都の人の中には仕事柄(タクシー、ホテル・旅館、飲食など)、京都検定の受験を奨励されている方々がいます。その方々は、試験の難しさを知っています。そんな環境で、愛知県人である自分が京都検定2級を持っていることを伝えると結構褒めていただけます。

4-2.観光のプランニングが自分でできる

Women at Tofukuji temple in Kyoto
通だからこそわかる観光スポットに行くことができるようになります

京都検定の勉強をすると、季節ごとの名所、さらには位置関係が頭に入ります。そのため、行く季節・場所によって、お勧めの観光プランを立てることができます。京都というと桜と紅葉が思い浮かべられます。しかし、京都は四季を通じてどこかしらで、花が咲いています。プランニングに少し入れると皆さん喜ばれます。ちなみに、一つ例を挙げると4月下旬の長岡天満宮の「きりしまつつじ」は圧巻です。

4-3.穴場巡りができる

京都に行って、清水寺や嵐山や哲学の道の混雑さに疲れ果てる方もいらっしゃいます。京都通はそんなところには行きません。私も毎年家族旅行で京都に行きます。過去には、夏の暑いときには、少し涼しい「洛北=京都の北」を中心に回りました。紅葉のピークの時には、人があまり行かない「洛西=京都の西」で紅葉をゆったりと堪能しました。これには家族も随分感激して喜んでくれました。

5.中心となる勉強法のコツ

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過去問をひたすら解くことは効果的な勉強法です

京都検定の具体的な勉強方法をご紹介します。まずは、「京都・観光文化検定試験公式テキストブック」を購入してください。購入しない人が結構いるのですが、これから試験は出るので必ず購入してください。しかしこれは辞書のようなものなので、これでは勉強できません。

そこで過去問をひたすら解きます。できれば過去15回分はすべて目を通したほうが合格率は高くなります。その時に、問題を解きながら、公式テキストブックにもチェックするようにしてください。そうすると、自然と公式テキストブックのかなりの部分にチェックが入ることになります。その状態で公式テキストブックを読むと、「この部分は試験ではこういう聞き方をしていたな」という視点で読むことができます。


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さらにこの視点で公式テキストブックを読んでいると、チェックが入っていない部分に気が付きます。そうすると、「いずれはこの分野で問題が出されるのでは?」と問題予想までできます。ここまでくると多少問題の傾向が変わっても合格できるのです。

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6.補助的な勉強法

過去問と公式テキストだけだと少し苦痛になることもあります。

6-1.ビジュアルでおさえる

京都検定で苦労するのは、庭園や茶室です。これらは、どれだけ文章で読んでもわかりません。そこで、庭園や茶室の写真が載っている本を購入して、ビジュアルも屈指することで記憶の定着が図れます。私が購入した本をご紹介します。

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6-2.地図を広げながらエピソード記憶化

京都検定試験のメインは、やはり寺社・仏閣になります。これもただ覚えていては気がおかしくなります。しかし、京都の地図を広げながら、場所も一緒に頭に入れましょう。単純に寺社・仏閣を覚えることは「単純記憶」であり人間の脳は苦手です。しかし、場所と関連させることで「エピソード記憶」になるため覚えやすくなるのです。

6-3.MKタクシーを使って出かける

さらに確固なエピソード記憶化をするには、京都に出かけることが最もおすすめです。私も試験前には、知識の確認のために何度も京都を訪れました。ときには、観光タクシーを使って午前中だけで12か所の寺社仏閣を巡り運転手さんを呆れさせました。

この場合の観光タクシーは、MKタクシーさんがお勧めです。MKタクシーさんは会社内でも情報交換もあり、公式テキストにはない情報も教えてくれます。ちなみに、MKタクシーさんのドライバーのかなりの方が京都検定資格を持っているようです。予約時に京都検定資格をもった運転手さんを指名されるとより効果的です。

7.認知症予防につながる

京都検定の勉強をしていると、「これって認知症予防」と感じるようになりました。

7-1.情報がネットワーク化される

認知症外来をやっていると、素因的にも認知症になる可能性が高い方でも認知症にならない方をお見かけすることがあります。病気は素因と環境が揃って初めて発症しますですから、環境が発症に影響を及ぼすことは間違いありません。

認知症を発症させないためには、幾重にも張り巡らされたネットワークが重要です。高齢・認知症になれば、脳細胞は減少します。しかし、もともと強固なネットワークを持っている人は、脳細胞が減少しても、一定のレベルを維持することができます。

京都検定の勉強をすると、強制的に京都に関するネットワークが完成します。その後、京都を訪れたり、テレビ・雑誌などで京都紹介があれば、ネットワークがさらに密になるのです。この密になったネットワークは間違いなく、加齢に伴う脳機能の低下を補ってくれるのです。

7-2.知識が経験につながり、心地よくなる

認知症予防には、多くの方法があります。それぞれのエビデンス以上に大事なことは、「心地よさ」です。脳にとって心地よいことは、感情を司る扁桃核を刺激することで、記憶を司る海馬にも好影響を及ぼすのです。

京都検定で得た知識を知恵に変え、自分自身や周囲の方に喜んでもらえることは、とっても心地よいものです。これこそが、認知症予防につながるのです。

8.まとめ

  • 京都検定は、歴史もあり受験者も多いが、結構難易度は高い試験です。
  • 合格のためには、問題集を解きながら、テキストを読みましょう。
  • 京都検定の勉強は、実は認知症予防にまでつながるのでお勧めです。
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