【お薦め本の紹介】『いただきます。人生が変わる「守衛室の師匠」の教え』

【お薦め本の紹介】『いただきます。人生が変わる「守衛室の師匠」の教え』

喜多川泰さんの『いただきます。人生が変わる「守衛室の師匠」の教え』を読み、私はこれまで見落としていた「当たり前」の中に潜む、本当の豊かさや生き方の本質に気づかされました。本書は、職業や年齢、経験に関わらず、誰にでも深く刺さる言葉で満ちており、読後には心が静かに整うような感覚を覚えました。

特に印象的だったのは、「誰でもできる仕事を、誰にもできないところまでやる」という言葉です。多くの人が「特別なこと」「自分にしかできないこと」に憧れますが、それは突き詰めれば、目の前の「誰でもできること」をどれだけ真剣に、どれだけ丁寧に積み重ねられるかにかかっているのだという教えに深く納得しました。たとえば、ラーメン屋で「どんぶりを洗う」といった一見地味な作業も、それを極めようとする姿勢がある人と、適当にやる人とでは大きな差が生まれる。その差こそが、その人にしか出せない「味」であり、やがては“一流”と呼ばれる存在へとつながっていくのです。

また、「道具は一番上手に使う人のもとにやってくる」という言葉には、目から鱗が落ちる思いがしました。これは、物や環境の有無ではなく、自分自身の在り方が世界を変えていくのだというメッセージだと感じます。自分に与えられた環境の中で精一杯努力する人には、自然とチャンスが巡ってくる。逆に、道具や条件が整っていないことを言い訳にする人には、何も得られないという厳しさと希望が込められているように思います。

そして本書のタイトルにもなっている「いただきます」という言葉に込められた深い意味にも、大きな感動を覚えました。「いただきます」は、単なる感謝の言葉ではなく、「あなたの命をいただく覚悟です」という宣言でもある。魚を食べること、作ってくれた人の時間をもらうこと、さらには、その食材がここに届くまでに関わったすべての人や自然との「つながり」をも内包していると知り、普段何気なく口にしていた「いただきます」の重みを改めて感じました。

印象深かったのは、主人公が「奥さまの命の四分の一を、あなたはいただいていた」と諭される場面です。料理を作るという日常の行為が、実は誰かの命の時間そのものであるという視点は、食べるという行為に対する私自身の姿勢を見直すきっかけになりました。この考え方は、食事だけでなく、誰かが差し出してくれた「時間」や「心遣い」に対しても同じく当てはまるのだと感じます。

さらに、登場人物の一人・松原の「聞く姿勢」からも多くを学びました。自分の話ばかりするのではなく、相手の話をじっくりと聞く姿勢。年を重ねた人たちの言葉には、過去の苦労や経験が染み込んでいて、そこから学ぶことは多いはずです。にもかかわらず、現代社会では効率やスピードが重視され、ゆっくり人の話を聞くという行為が軽視されがちです。松原のように、語らずして教えるという姿勢に、本当の意味での“師”の在り方を見たように思いました。


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そして、最も心に残った言葉のひとつが、「学びたいと思っている人には、必要な学びが、その人にとって一番必要なタイミングで訪れる」というものでした。人生には答えのない問いが多くありますが、この言葉には大きな希望が込められています。焦らずとも、真摯に学ぶ姿勢を持って生きていれば、必要な出会いや気づきが自然と訪れるという考えは、これからの人生をより丁寧に、誠実に歩んでいく勇気を与えてくれました。

本書を読み終えて、私は「特別なことをすることが大事なのではなく、日々の普通のことを、どれだけ心を込めてやるか」が大切なのだと強く感じました。そして、そこに「感謝」や「つながり」の意識があれば、私たちの人生はもっと深く、豊かなものになるのではないかと思います。「いただきます」とは、命と向き合う覚悟であり、他者の時間や労力への敬意であり、そしてその恩を返すように自分の人生を生きるという、私たち一人ひとりに課せられた約束なのかもしれません。これからの日常で、この言葉をより丁寧に、深く噛みしめて使っていきたいと心から思いました。

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