医者をやっていて嬉しいことがあります。看護師をはじめとする医療従事者に、身内の診療を依頼されることです。彼ら彼女らは、病院の内情を熟知しています。医師のレベル・技術についても誰よりも知っています。そんな医療従事者から大切な身内を紹介されることは、高い評価を戴いたことになります。
そのため卒後数年間は、そのようなご紹介を受ける事はまずありません。しかし卒後5-6年と経験を積むと、徐々に紹介いただけるようになるのです。自分も、初めてご紹介を受けたときは、とても嬉しかったものです。
ちなみに私の先輩で抜群に大腸ファイバーが上手な先生が見えます。そのクリニックは、患者さんの3割が医療従事者、1割が医師です。この事実だけで、これ以上何も説明する必要がないと思いませんか?ある意味医師の評価は、医療従事者に聞くのが一番なのかもしれません。
先日、当院で働いてた看護婦さんが娘さんを連れて受診してくれました。受診目的は、私が専門とする分野でした。決して喧嘩別れしたわけではありませんが、一度辞めた職場を受診することは勇気がいるものです。それでも当院の専門性を評価して受診してくれたのです。とても喜ばしく感謝の気持ちでいっぱいになりました。
幸い当院では他にも、いろいろな事情でやめたスタッフが、家族を連れて受診し続けてくれています。改めて開業して15年間、多くの方々に支えられてきたことに気づかせてもらいました。