2025-11-24 「年相応」という言葉の落とし穴 〜認知症専門医の立場から〜 認知症外来を担当していると、患者さんやご家族から「以前、ほかの病院で“年相応”と言われたんです」という言葉をよく聞きます。一見、やさしく聞こえるこの“年相応”という言葉。しかし、認知症の診療現場では、この一言が「発見の遅 …
2025-11-19 500万円の新薬より“6000歩”が有効──認知症専門医が最新研究を解説 こんにちは。認知症専門医の長谷川嘉哉です。今日は、少し刺激的なタイトルでお話しします。 「500万円の新薬より“6000歩”が有効」──これ、決して誇張ではありません。 1.レカネマブという“希望の薬” 2023年に日本 …
2025-11-17 「物忘れ」と「置き忘れ」…認知症専門医が解説 診察室でもよく聞かれる質問があります。「最近、物を置き忘れることが増えたんです。これって認知症の始まりですか?」結論から言うと、多くの場合、それは認知症ではなく、脳の“注意の使い方”の変化です。今回は、加齢による置き忘れ …
2025-11-10 鍵は“握力”だった─「MCIから回復」 「最近、物忘れが多くなった」「判断が鈍くなった気がする」 そんなとき、多くの人が頭をよぎるのが「認知症」という言葉です。しかし、実はその前段階である「MCI(軽度認知障害)」から3割の人が回復しているという、希望に満ちた …
2025-10-20 「金が尽きたら、退所」──在宅介護の限界が始まった 最近、私たちのグループホームでも「経済的理由による退所」という現実が、とうとう目の前に現れました。今回退所する利用者さんは、認知症の診断はありますが、介護度は1。日々穏やかに過ごしており、特に目立った身体的な介護が必要な …
2025-10-13 認知症治療 タウを叩け! 脳に届く次世代の一手 今回は、認知症治療、特にアルツハイマー型認知症の新たな治療法について、最近の話題を交えながら、できるだけわかりやすく解説します。 1.「脳の中に薬を届ける」という難題 アルツハイマー型認知症の治療薬は、長い間、大きな進展 …
2025-10-10 表彰の前に検証を 保険営業の“優秀”を疑え 『対馬の海に沈む』より 本書が描き出すJA対馬での不祥事は、単なる一個人の過ちとして片付けることのできない、組織と制度の深い病理をあぶり出しています。その中でも特に、「成果主義」「ノルマ至上主義」がいかに人間性を蝕み、最終的には組織そのものを崩 …
2025-10-08 「レカネマブ×障害者手帳」の矛盾 —— 医療費助成を目的とした手帳取得の是非を考える 近年、アルツハイマー型認知症に対する画期的な新薬として注目されている「レカネマブ(商品名:レケンビ)」が国内でも承認され、2023年より保険適用となりました。早期のアルツハイマー型認知症において、アミロイドβを標的とし、 …
2025-09-17 血液でわかる認知症のヒント ― PTAUとアミロイドの不思議な関係 アルツハイマー病といえば「アミロイドβ」という物質が脳にたまる病気、という説明を聞いたことがある方も多いと思います。長年、この「アミロイド仮説」が研究の中心でした。しかし最近は、単にアミロイドがたまるだけでは説明できない …
2025-09-15 アルツハイマー病と性差の新事実 〜テストステロンが脳を守る?〜 今回は、認知症の中でも特に多く見られるアルツハイマー型認知症(AD)と、性差(男女の違い)に関する最新の研究成果をご紹介します。これまでの臨床現場の経験からも、「女性の方が認知症になりやすいのでは?」と感じていた方も多い …