私たちはつい、個人の症状に注目してしまいがちです。しかし、実は一人ひとりを見るよりも、「集団」として人間を捉えたほうが、健康の本質をより深く理解することができます。60年以上にわたって日本人を定点観測してきた研究から導き出された結論は、非常にシンプルでありながら重みのあるものでした。――それは、「健康に特効薬など存在しない」という事実です。
- 健康な人は「 無意識のうちに健康になれる習慣」を実践できる環境にいた
- 長く続いている疫学研究は、今を生きる私たちの財産なのです。
- 疫学データは「タバコは絶対にダメ」と示しています。病気によって差はありますが、 日本人の全死亡率で見るとタバコが最大の要因となります。
- 中年期( 40 代・50 代)に肥満だった人(BMIが 30 以上の人)は、将来的に認知症になる確率が2倍を超えることがわかっています
- 高血圧や脂質異常も問題だけれど、そもそも高血圧も脂質異常も肥満が原因で起こってきますので、その前段階の肥満に対処する必要があります。
- 睡眠時無呼吸症候群は実は心疾患など循環器疾患の重大な原因の一つとなっていて、タバコよりも大きな悪影響があることがわかっています。
- 「60 年の医療×統計でわかった、日本人の健康の最適解」の5原則は、次の通りです。 1 タバコは一切吸わない 2 お酒は1日2合未満 3 塩分を減らしカルシウムを増やした和食をとる 4 座位時間を減らして適度な有酸素運動をする 5 肥満を解消する
- 日本人が要介護になる大きな原因はすでにはっきりしており、 1位が認知症、2位が脳卒中、3位が骨折・転倒を含むフレイル(虚弱) です。要介護を避けるためには、この3つを予防することがまずは大事
- 健康寿命を縮める最大の理由は「高血圧」
- 心筋梗塞も含め、循環器疾患の最大のリスクが高血圧であり、高血圧を正常値に戻していけば、4割くらいの脳卒中は予防できると思われます。
- 高血圧の人は認知症のリスクが2倍近くになる というデータが出ています。
- 健康になるためには、仕組みづくりが最も重要である。「仕組み化」というのは、自分の意志力や行動に関係なく、「 生きているだけで健康になっていける」状態のことを指します。
- 仕組みづくりの柱は、次の3つです。 1 食事習慣を変える 2 自然と運動できる強制力をつける 3 ストレスを減らすように人と関わる
- 健康の基礎は「計測」である。 可視化するだけで健康になる
- 食後の血糖値が高ければ高いほど認知症を起こしやすい ことがわかっています。食後2時間の血糖値が140以上だと認知症発症率が1・5倍に、200以上あれば2倍を超えるのです。
- 空腹時血糖値より食後血糖値が心筋梗塞などの循環器疾患発症リスクを高めることがわかっています。
- ボランティア活動を行うと、認知症および軽度認知症予防に効果があることもわかっています。
- 健康になる「笑い」は人と交流して生まれやすい
- 塩分摂取量が多いこととカルシウム摂取量が少ないことです。この2点を改善し、「 塩分を減らしカルシウムを増やした和食」ができたら、地中海食をしのぐ世界最強食となるはずです。
- あえて地中海食をマネしてオリーブオイルを買わなくても、日本人が昔から口にしていたエゴマ油などの 植物性の油をとり、魚や野菜をたっぷり食べていれば、それでいい
- おやつにいいのが、マグネシウムやカリウムが豊富な ナッツ です。ただし、塩分の多いものは避け、無塩タイプを選びましょう。
- 魚と野菜は「否定するエビデンスがほぼない」最強の食材
- 血圧を下げたいなら、カリウムを多く含む食品を摂りましょう。カリウムは、2つの意味で血圧にいいのです。
- カリウムは、トマトを含めた 緑黄色野菜、葉物野菜を生で食べる と摂れます。また、果物にも多く含まれます。
- 醤油味だろうと豚骨だろうと、とにかくラーメンのスープは塩分が多く、全部飲んだら相当な塩分摂取量になります。
- 熱中症予防のための「塩分摂取」はほぼ無意味
- 高血圧の原因は塩分のとりすぎが圧倒的多数でした。しかし、今は 肥満が一番 です。
- ハンバーガーより回転寿司を食べよう
- ただし、醤油は1滴垂らすくらいにして、絶対にしゃりに醤油をしみこませないこと。炭水化物過多にならないように「しゃりハーフ」にするくらいがいいでしょう。
- 回転寿司では味噌汁なども注文できますが、醤油からも塩分をとることを考えて避けましょう。
- 2合以上飲む人は、朝方に、あらゆる循環器疾患に襲われやすい のです。 さらに、1合以上飲むと、全体的にがんのリスクも上がってきます。
- 飲むと顔が赤くなる人は、将来、食道がんになるリスクが上がります。顔が赤くなるということは、アルコールの分解能力がもともと低いので、害も受けやすいと言えます
- 週2日以上運動している人の割合は3割くらいにすぎません
- 運動によって 20 以上の慢性疾患が予防できる
- 運動の機会が多い人ほど、全死亡が2〜3割減り、3〜4歳ほど寿命が長くなると考えられます。
- WHOや日本の研究機関が推奨しているのが、「1週間に150分の有酸素運動」です。そこにプラスして、週に2回、筋トレを行えたらさらに理想的です。さらにできればバランス運動も加えてください。
- 誰と一緒にいるときに最も笑っているか」について調べたことがあります。 男性の場合、トップは妻、2番が友だち、3番が子や孫でした。 一方、 女性はトップがダントツで友だち、2番が子や孫で、夫という答えは友だちの半分くらいしかありませんでした。
- 「ありがとう」を言葉にすること。それこそが最高の、健康になる小さな習慣です。
