こんな記事がありました。“平成27年6月11日、75歳以上のドライバーを対象に、記憶力や判断力を測る「認知機能検査」の強化を柱とした改正道路交通法が11日、衆院本会議で可決、成立した。免許更新時などの同検査で認知症の恐れがあると判定された人に医師の診察を義務付ける内容で、早期発見による事故防止が目的だ。免許取り消しが急増する可能性もあり、高齢者の移動手段の確保が課題になりそうだ。”
今回の改正の主な点は、
・ 同検査で認知症の恐れがあると分かれば、交通違反の有無にかかわらず受診を義務付ける。
(今までは道路逆走や信号無視といった交通違反をおかした場合のみ)
・ 一定の交通違反を犯した人も臨時に検査を受け、認知症の恐れがあれば受診が必要になる。
ちなみに、14年に認知機能検査を受けたのは約143万8千人。このうち認知症と診断され、免許取り消し・停止に至ったのは356人。改正法で検査や受診の機会が増えることで、免許取り消しなどが急増することが予想されます。
私の外来でも、相当認知症が進行していて、私が“運転を禁止”しても運転する人、それを黙認する家族が存在します。車の運転には、患者さんだけでなく被害者が存在します。実際に昨年に全国で起きた高速道路の逆走は224件で、ドライバーが認知症と判明したのは1割を超える27件。全員が60歳以上でした。高速道路の逆走などは、重大事故につながる恐れが大です。
公共交通機関が少なく、車での移動が欠かせない地方では免許取り消しによって高齢者が外出の手段を失う恐れが懸念されています。しかし、議論を分ける必要があります。まずは早急に問題がある人の運転を遠慮いただき、同時に移動手段を確保する対策も検討するべきです。