2月には、新薬導入により、武田薬品、小野製薬、第一三共製薬の社内勉強会で講演をさせていただきました。
当院では現在、1万錠以上のアリセプトを処方しています。
新薬導入により、今後の処方がどうなるかを考えました。
①まず、認知症進行によりMMSEが徐々に悪化していくケースや、周辺症状が出現するケースでは第一三共製薬が販売する、メマリーを追加することが予想されます。
私は、外来で患者さんを診ながら、3-4割程度にメマリーが適応と考えました。
その後、海外の実績を調べると、アルツハイマー型認知症患者さんの約40%にメマリーが併用されているようです。
私の感覚に近いものであり驚きました。
②次いで、認知症の初期から中等度、つまり従来アリセプトが処方されていた患者さんに、ヤンセン・武田が販売するレミニールがどの程度処方されるかです。
作用機序、治験の成績からすると、かなりの割合でレミニールにとって代わられると予想されます。
レミニールで唯一の不安要素は、1日2回処方であることです。
アルツハイマー型認知症の患者さんではMMSEが20点を切ってくるころから、服薬管理が不安定となります。
そのため、一人暮らしや介護者の都合で1日1回のアリセプトの処方が残る可能性があります。
しかし処方の主体はレミニールになると予想されます。
③今後、アリセプトの処方がどの程度残るかです。
平成23年の年末にはジェネリックが発売されます。
メマリーが併用されるケースでは、患者さんの負担も考えジェネリックに変更せざるをえません。
私の予想では、今後数年でアリセプトの処方は現在の3割程度になると予想しました。
思いのほか厳しい数字ですが、“ジェネリックが出た薬の多くは、ピークの20-30%になる”というデータもあるそうです。
私の外来レベルでの感覚が、全体の数値に近い結果になるのかもしれません。
多くの人間が、いろいろな思惑で行動するのですが、ミクロ的にもマクロ的にも不思議に一定の平均値に近似していくことは、まさに“数値のマジック”ではないでしょうか?