高齢者に多い「お口をモグモグ」は何科?…口唇ジスキネジアについて専門医が解説

高齢者に多い「お口をモグモグ」は何科?…口唇ジスキネジアについて専門医が解説

昔の漫画などでは、高齢者を描く際には、口をモグモグさせて描いているものがあります。実際、高齢者の中にも、口をモグモグさせている方がいらっしゃいます。そんな「お口モグモグ」を、医学的には口唇ジスキネジアと言います。今回の記事では、脳神経内科専門医である長谷川嘉哉が口唇ジスキネジアについて解説します。

1.口唇ジスキネジアとは?

口唇ジスキネジアとは、自分の意思で動かそうと思っていないのに、勝手に動いてしまう不随意運動の一つです。口唇ジスキネジアでは、口・舌・顔面に不随意がおこります。口をモグモグさせたり、口をすぼめたり、クチャクチャ噛んでみたり、舌うちをしたり、顔をしかめたりします。どれも、放置しても命の危険はありません。但し、周囲の人にとっては、あまり心地よいものではありません。

2.原因は?

脳内の神経伝達物質であるドパミンによる運動の調節機能がうまく働かなくなって起きると考えられています。主に、以下の原因でおこります。

2-1.ドパミンと関連する抗精神病薬の副作用

ドパミンと関連する抗精神病薬では、ある程度長期間服用してから起きるため、「遅発性ジスキネジア」と呼びます。統合失調症、双極性障害などで抗精神病薬を長期に服薬していると3割程度口唇ジスキネジアを認めるという報告もあります。また頻度は下がりますが、抗うつ薬や抗てんかん薬で口唇ジストニアが起こることがあります。

2-2.パーキンソン病薬の副作用

パーキンソン病の治療薬の副作用では、口唇ジスキネジアの頻度が高く、服薬を始めてから、半年から4年ほどで発症することが多いです。特に若年で発症したパーキンソン病では、頻度が高くなります。

2-3.加齢変化

精神疾患やパーキンソン病による治療を受けていなくくても、高齢者や糖病病患者さんでは口唇ジスキネジアがよく見られます。

3.治療

以下の順序で、対応をしていきます。


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3-1.まず気が付く

まず、治療の第一歩は、患者さんの不随意運動である口唇ジスキネジアに気が付いてあげることです。毎日、生活していると気が付かないことも多いものです。たまに、あった人が、「おかしな動きをするな?」と感じた場合は、ご家族にさりげなく伝えてあげてください。特に、コロナ禍でマスクをしていることが多いと気が付かないことがあるので、食事の際には気をつけてみてください。

3-2.詳細な問診

パーキンソン病治療薬や、抗精神病薬を服薬している場合は、どの種類の薬をいつから?どのような不随意運動?どのようなタイミング?で出現しているかを問診から検討します。

3-3.原因薬剤の中止・減量・変更

原因である薬が特定できた場合は、可能なら中止することが望ましいです。しかし、目的をもって使用していた薬剤を簡単に中止することが難しいこともあります。そのため、病状と副作用とのバランスを考えて、量を減らしたり、服薬回数を調整したり、別の薬に変更することで対応します。

4.何科に受診?

口唇ジスキネジアに気が付いた場合は、精神科や脳神経内科で薬を処方されている場合は、その主治医に相談しましょう。特に、服薬をしていないのに口唇ジスキネジアが出現した場合は、不随意運動を専門とする脳神経内科専門医への受診がお勧めです。

5.まとめ

  • 漫画などで描かれる、高齢者が口をモグモグさせている状態を、口唇ジスキネジアといいます。
  • 口唇ジスキネジアは、薬の副作用で起こることが多いです。
  • 口唇ジスキネジアが出現した場合は、原因薬剤の中止・調整・変更が必要です。
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