先回、ご紹介した
脳出血後、経鼻胃経管栄養が導入された86歳の男性。
ここで問題になるのは、介護力です。
さらに介護力を補う年金、預貯金も重要となってきます。
今回のケースでは、
配偶者が死去しており、
主たる介護者は長男のお嫁さんひとり。
あまりに乏しい介護力であるため
在宅医療は不可能です。
というより
専門医として薦めません。
在宅医療が不可能で施設を探す場合、
経済力が相当に重要になります。
急性期病院から慢性期病院では
医療費はそれ程かかりません。
かかったとしても、高額医療制度があるため、
一定額を超えれば還ってきます。
しかし、発症から5-6か月もすると
施設入所となります。
通常、月額15-20万円のお金が必要になります。
今回のケースでは、
運動機能障害あり身体介護が必要
高次脳機能障害のため、理解力は欠如
その上、経鼻胃経管栄養の管理が必要。
介護をするものとしては、相当の困難ケースです。
そのため、
受け入れてくれる施設は限られます。
仮に入所しても、
頻回に、経鼻胃経管栄養を抜くようなことがあれば、
退所を命じられることさえあります。
この時点で、”入居費用が安い”を望むことは不可能です。
今回のケースでは
幸い経済的負担が可能であったため、
月額35万前後の施設に入ることができそうです。
もしも、経済的余力がなければ、
長男のお嫁さんが
自分の人生と体力を犠牲にして、
介護するしかないのです。
その結果、長男のお嫁さんも
身体を壊してしまう・・
そんなケースを何度も診てきました。
相談もなく、経鼻胃経管栄養を入れた若い先生
きっとそんな知識も想像力もなかったのでしょう・・
医師として学ぶことは医療だけではないんです!