外来でも家でも脈を測っていますか?脈を取ることの重要性を専門医が解説

外来でも家でも脈を測っていますか?脈を取ることの重要性を専門医が解説

昔、お医者さんが患者さんを診る場面が描かれると、必ず脈をとっていたものです。しかし、最近の医療現場では、血圧を測ったり、聴診器を当てても、脈をとる医師は少ないようです。しかし、脈には多くの情報が隠されています。健康習慣のためには、診察時だけでなく、患者さん自身も脈をとる習慣を持ってほしいものです。

今回の、記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が、脈の重要性をご紹介します。

1.脈拍とは?

何気なく、使っている「脈拍」という言葉にも定義があります。

1-1.心臓の拍動である

脈拍とは、心臓から血液が大動脈に送り出される際に起こる拍動です。その拍動が、全身の動脈に伝わることで、手足の付け根や、四肢の末端で触知することができます。

1-2.正常値は61〜99回/分が目安

脈拍数は、1分間の拍動の数をいいます。診察の場では、10秒間の数を6倍したり、15秒間の数を4倍します。成人の場合、脈拍数が60回/分以下を徐脈、100回/分以上を頻脈と言います。特に、40回/分以下、もしくは120回/分以上の場合、早急に精密検査・治療が必要です。

1-3.正常でも脈が乱れる場合もある

脈をとることで、脈の不整=不整脈がみられることがあります。ただし、脈は一度も乱れないわけではありません。24時間の心電図を取ると、1日10万回前後の脈拍のなかで、ある程度は不整脈がみられます。一般外来では、1分間脈をとって、1〜2回の不整脈であれば、問題がないことが多いです。但し、それ以上の不整がみられる場合や症状がある場合はさらに精査を行います。

Irregular Heartbeat Illustration
不整脈も1分間に1〜2回ならよくあることと考えます

2.脈拍の取り方は

自分自身での脈の取り方については、厚生労働省が以下のような方法を提言しています。

利き手の人差し指・中指・薬指の3本の指で、利き手でない側の手首の内側にある橈骨動脈(とうこつどうみゃく:親指側で拍動が触れるところ)を10 秒間図り、その数値を6 倍すると1 分間の脈拍数となる。脈拍計等の様々な市販の機器を活用してもよい。

Measuring of pulse on wrist by the doctor.
指2本でもとれますが、3本の方がより分かりやすいようです

3.脈が速くなると

心拍数が速くなると、「胸がドキドキ」すると言われます。そんな時に、脈拍を測ると100/分以上であることがあります。この時の、状態を「心臓の存在を感じること」と表現します。日常の中で、心臓の存在などは意識せずに生活しています。しかし、脈が速くなったとたんに心臓の存在を感じるようになるのです。

但し、「胸がドキドキ」する言われる患者さんの中には、脈拍を測ると正常の方もいらっしゃいます。この場合は、実際に脈拍を取り、「正常である」ことを伝えると、安心され症状が気にならなくなる患者さんもいらっしゃいます。脈が速くなる、動悸については以下の記事も参考になさってください。

4.脈が遅くなると

脈が遅くなると、倦怠感を訴えます。具体的には、脈拍が40/分を切ると多くの方に症状が出現します。時には、本人は、症状を訴えず、殆どボーッとしてしていることもあります。高齢者の方ですと、周囲からは「認知症になった」と誤解されることもあります。そのため、ブレイングループの認知症専門外来では初診時には、必ず脈拍を測ります。


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なお、マラソンや水泳などの持久力を必要とする運動をしていた人の中に、もともと脈拍数が少ない方がいらっしゃいます。これは、スポーツ心臓と言って、1回の拍動で血液をより多く送り出すことができるようになり、少ない拍動でも全身に十分な酸素を運ぶことが可能になるために起こる現象です。

5.薬の副作用に注意

服用している薬が脈に影響を与えます。

5-1.脈が速くなる薬

慢性動脈閉塞症の治療や、脳梗塞の再発予防に使われる、抗血小板療法であるシロスタゾール(商品名:プレタール)は副作用として、脈が速くなる頻脈があります。そのため、服用によって頻脈が起これば、アスピリン(商品名:バイアスピリン)や、クロピドグレル(商品名:プラビックス)に変更します。

ただし、脈が速くなる副作用を逆手にとって、脈が遅くなる患者さんに使用することもあります。特に、高齢者で脈が40/分以下になった場合、全身状態からペースメーカの植え込みに躊躇する場合は、シロスタゾールでいったん様子観察することがあります。

5-2.脈が遅くなる薬

降圧剤の一種である、β遮断薬は副作用として脈が遅くなります。そのため、私はβ遮断薬を服用している患者さんには、必ず脈拍を測ります。β遮断薬は、降圧目的だけでなく心不全,頻脈,狭心症の合併や,心筋梗塞後には必要な薬剤ので、安易に中止はできません。ただし、脈が遅くなることに伴う眩暈や眼前暗黒感などの自覚症状が出現した際には減量もしくは中止を検討します。

*代表的なβ遮断薬:プロプラノロール(商品名:インデラル)、アテノロール(商品名:テノーミン)、ビソプロロール(商品名:メインテート)、メトプロロール酒石酸塩(商品名:セロケン)

6.簡単に脈を測る機械もお薦め

脈を測ることの重要性がわかっても、自分自身では、きちんと測定する自信がない方には、機械を使った測定もお勧めです。以下に紹介するパルスオキシメーターは、人差し指にはめるだけで、脈拍と血液中の濃度も測定ができますので、一家に一台、常備されることをお勧めします。

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7.まとめ

  • 服用している薬によって、脈は早くなったり、遅くなったりするものがあります。
  • 脈には、多くの情報が隠されています。診察時だけでなく、患者さん自身も脈をとる習慣を持ってほしいものです。
  • パルスオキシメーターを、一家に一台、常備されることもお勧めです。
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