初台リハビリテーション病院のリハビリが娘の手足を動かした

初台リハビリテーション病院のリハビリが娘の手足を動かした

脳血管障害に罹患すると多くの場合、片側の手足が動かない片麻痺、歩行が不安定になる失調という障害を残します。そうすると手術や薬物治療と同様にリハビリが必要になります。特にリハビリは発症から早ければ早いほど効果があります。また、発症から6か月を過ぎると改善効果も減少するため、発症直後のリハビリが重要となります。

今回、私の娘が22歳で奇異性脳塞栓になり左麻痺を呈しました。しかし、その後の初台リハビリテーション病院による回復期リハビリにより劇的な改善を認めました。今回の記事では、脳神経内科専門医の長谷川嘉哉が、脳血管障害に対するリハビリの流れについて解説をします。なお、娘の病態については以下の記事も参考になさってください。

目次

1.急性期リハビリとは?

脳血管障害の場合、脳卒中治療ガイドライン2015では、発症後できるだけ早期から十分なリスク管理のもと、積極的にリハビリを実施することが推奨されています。ただし、この時期は命の危険もある急性期ですから、治療が最優先されます。通常、急性期に入院した病院で2週間前後行われます。

私の娘の場合も、東京女子医大に入院後、3週間の治療と急性期リハビリが行われました。ただし女子医大の医療レベルは申し分なかったのですが、急性期リハビリが日曜祝日が休みであることは残念でした。特にゴールデンウイークにかかり、数日間専門のリハビリは行われない事は家族にとっては耐え難いものでした。

一方で、代わりに脳卒中センターの看護師さんたちが、忙しいなか毎日1時間近くリハビリを行ってくれたことには、涙が出るほどの感謝でした。

2.回復期リハビリとは?

脳血管障害の急性期を脱した後に行われるのが、「回復期リハビリテーション」です。発症後、6か月以内の回復能力の高いこの時期のリハビリは極めて重要で、専門の医療施設が存在します。

娘の場合も、迷うことなく東京渋谷区にある初台リハビリテーション病院を選択させていただきました。

3.初台リハビリテーション病院とは?

初台リハビリテーション病院は、回復期リハビリテーションの専門病院です。理学療法士87名、作業療法士62名、言語聴覚士33名によるリハビリが土日祝日を含め365日提供されます。医師もリハビリの専門医が多数在籍し、看護師、ケアワーカー、ソーシャルワーカも含めチームできめ細かく対応してくれます。

長嶋監督名誉監督がリハビリをした病院としても有名でしたが、まさかその情報を自分の娘に使うとは思いませんでした。

実際、リハビリは休みなく、1日3時間行われました。さらに入浴・食事の際にもできるだけリハビリ効果が上がる対応をしていただけました。きっと、自分自身も気が付かないレベルまで配慮されたリハビリであったと思われます。お陰で入院時、「3か月で80%を目指しましょう」と言われた目標が、「2か月で98%回復」というレベルにしていただくことができました。本当に本当に本当に感謝です。


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4.看護師さんにも感謝

初台リハビリテーション病院というとリハビリばかりに目が行きますが、看護師さんにも本当に感謝をしています。娘も突然の病気で急性期リハビリを終え、回復リハビリに転院。そして毎日休むことなくリハビリ。22歳の若者にとっては、かなりの試練であったと思います。時に、リハビリに対する意欲・気力を失いかけたこともありました。そんな時には、看護師さんが時間をかけて娘の話を聞いてくれました。お陰で貴重なリハビリ期間を無駄にすることなく取り組むことができました。本当に本当に本当に感謝です。

5.維持期リハビリテーションは不十分

本当に初台リハビリテーション病院はレベルも高く素晴らしいものでした。しかし、永遠にリハビリを続けられるわけではありません。発症して6か月を経つと、退院。外来リハビリを週に1-2回続けても最終的には終了となります。

そうなると、維持期リハビリテーションを行うわけですが、これは介護保険を使いますが、そのサービスは十分ではありません。さすがの初台リハビリテーション病院もそこまでは対応できません。

ここで改めて自分自身が行ってきた取り組みの意義を自覚することができました。リハビリは急性期から回復期だけでなく、一生行うものです。その効果は、年齢が100歳になっても認められます。しかし、そのリハビリ環境は不十分で、免疫学者の多田富雄さんがリハビリを求めて「杖をください」という言葉を発せられました。

私のブレイングループではリハビリのできるデイサービスとしてパワーリハビリを導入、理学療法士と作業療法士による訪問リハビリを積極的に行ってきました。自分が行ってきたことの正当性を、娘の病気で改めて知ることになりました。これからも多くの患者さんの「杖を下さい」の言葉に応えていきたいと思います。

6.まとめ

  • 脳血管障害後のリハビリは、発症から6か月間のリハビリ効果が極めて高いです。
  • この時期のリハビリは、急性期リハビリと回復期リハビリで対応します。
  • 初台リハビリテーション病院は回復期リハビリで病院としてはトップクラスです。
  • リハビリは、発症6か月を過ぎてからの維持期リハビリテーションも重要ですが十分ではありません。

 

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