睡眠不足は認知症のリスクを高める?適切な睡眠時間は?認知症専門医が解説

睡眠不足は認知症のリスクを高める?適切な睡眠時間は?認知症専門医が解説

皆さんの睡眠時間はどの程度でしょうか? 当院のスタッフに聞いても、特に仕事をしながら子育てをしている女性の睡眠時間は、とても短く、4~5時間程度の方も結構いらっしゃいます。私自身も、何とか6時間を維持していますが、ときにそれ以下になることもあります。そんな睡眠時間ですが、実は、睡眠不足が認知症の危険度を上げることもわかってきています。

今回の記事では、月に1000名の認知症患者さんを診察する専門医の長谷川嘉哉が、睡眠時間と認知症のリスクの関連と、予防方法についてご紹介します。

1.睡眠時間が短いと認知症になりやすいとは?

米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のRebecca Robbins氏らは、雑誌「Aging」に以下の研究結果を発表しました。

対象は、2812名の65歳以上の高齢者2812名分のデータから、睡眠の質および量と認知症および全死亡リスクとの関連を検討。解析の結果、5年以内の認知症の発症リスクは、睡眠時間が7~8時間の人と比べて、5時間以下の人で204%増加することが明らかになった。

「アルツハイマー病に関連する異常タンパク質を脳が除去するには、十分な睡眠が必要である」ことが、動物実験で示唆されています。そのため睡眠不足は、異常タンパクが十分除去されずに、蓄積してしまう可能性があるのです。これらの「睡眠が脳を清掃する詳細」については以下の記事も参考になさってください。

2.日本人の睡眠時間は世界一短い

認知症の原因にもなりうる睡眠不足ですが、日本人の睡眠時間はとても短いのです。2018年のOECDの調査によると、日本人の平均睡眠時間は、7時間22分と世界で最も短いものでした。正直、7時間22分は思いのほか長いと思ったのですが、あくまで平均です。6時間未満の睡眠時間の方は全人口の4割を占めると報告されています。年齢別で見ると、働き世代である30代〜50代の平均睡眠時間が短く、なかでも40代の約半数は睡眠時間が6時間以内となっています。つまり、多くの方が、認知症のリスクを抱えていることになるのです。

3.適正な睡眠時間は?

認知症予防には、どの程度の睡眠時間が必要でしょうか?

健康や長寿に関係する最適な睡眠時間は7時間だという知見が得られています。寿命と睡眠時間の関係を調べた大規模な調査では、睡眠時間が7時間の人が最も死亡率が低く長寿でした。もちろん個人差はありますが、睡眠時間がそれよりも短くても長くても、寿命が短くなるとされています。


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さらに、睡眠時間と同様に睡眠の質も重要です。質のよい睡眠とは、目覚めがスッキリとしていて、ぐっすり眠ったという満足感が得られる眠りのことです。つまり、入眠直後の深いノンレム睡眠がしっかりとれ、その後のレム睡眠とノンレム睡眠が交互にリズム良くとれるかどうかなのです。「寝つけない」「夜中によく目が覚める」「熟睡できない」「早朝に目が覚める」という症状がある場合は、深い睡眠がとれていない可能性が高くなります。

ただし、意識調査では、ベッドにいる時間が6時間を切ると睡眠不足と感じる人が多いとされています。そのため、量と質を実現するためにも、最低6時間、できれば7時間は睡眠時間を確保したいものです。

4.睡眠の確保のためには、「明日できることは、今日やるな」

睡眠時間を確保するには、特別な方法はありません。とにかく、できるだけやらなければいけないことを減らすことです。日本では、一般的に「今日できることは、今日のうちにやれ」、「明日に先延ばしするな」といわれます。実際、自分もその通りにしていたこともありました。しかし、そんなことをしていたら、睡眠時間がどんどん短くなってしまいます。

トルコのことわざには、「明日できることは、今日やるな」というものがあります。これって、少し違和感がありますが、睡眠時間確保のためには有益です。実際、私も『「やってもやっても終わらない名もなき家事」は不完全でいいじゃない!』を読んで、家事だけでなく仕事も含めて、不完全でも良いことに気づかされました。本の内容の内容については、以下の記事も参考になさってください。

5.まとめ

  • 日本人の睡眠時間は世界の中でもとても短く、6時間未満の睡眠時間の方は全人口の4割を占めています。
  • 睡眠時間が7~8時間の人と比べて、5時間以下の人で認知症の発症リスクは204%増加します。
  • 睡眠時間の確保のためには、「明日できることは、今日やるな」の精神が大事です。
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