マウスウォッシュは効果がないばかりか、糖尿病のリスクを高める!?

マウスウォッシュは効果がないばかりか、糖尿病のリスクを高める!?

自分は使わないのですがマウスウォッシュを使用している方が増えています。確かに、人に会う前などに口の中をすっきりさせ、口臭を抑えられる気がするので、習慣化している人も多いようです。実際、当院の看護師もかなり使用しているようです。しかし、マウスウォッシュについては糖尿病のリスクを高めるといった報告も出ています。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が、マウスウォッシュをお薦めしない理由についてご紹介します。

目次

1.マウスウォッシュが糖尿病のリスクを増加させるとは?

以下のようなハーバード大学の論文が出されました。

対象は、糖尿病や心疾患には罹患していない太りぎみの男女1,206人。年齢は40〜65才。マウスウォッシュの使用頻度と3年後の罹患率を検討。結果、食事、歯磨きの回数、睡眠の質、処方薬の有無、空腹時血糖値、年収などの要素を調整しても、マウスウォッシュを使わない人にくらべて、マウスウォッシュを1日に2回以上使う人は、糖尿病の発症リスクが55%あがる

研究者の考察では、

口腔内には、硝酸塩を亜硝酸塩に代謝する働きを持つ細菌が常在している。口のなかで生まれた亜硝酸塩は消化器官へ送り込まれ、一酸化窒素に変換される。実はこの一酸化窒素は体内のインスリンレベルを調整しており、そのバランスが崩れると糖尿病の発症につながる。

つまり、マウスウォッシュを定期的に頻回に使用することにより、有益な細菌をも殺菌され、血糖を調整する一酸化窒素産生も抑制してしまうという理由です。

2.マウスウォッシュが肥満をひきおこす

そもそも、マウスウォッシュは、身体にとって有益な細菌と悪い細菌を区別することはできません。特定の細菌を狙い撃ちするのではなく、口腔内の常在菌を手当たり次第に殺してしまうのです。その結果、病原菌が口から体内に入ることを防ぐ常在菌が減少して人間が本来持っている防衛機能も低下する恐れがあるのです。


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また、腸内細菌同様に口腔内細菌が肥満を予防するという報告もされています。つまり、むやみなマウスウォッシュによる口腔内殺菌は肥満につながる可能性もあるのです。

3.そもそもマウスウォッシュの効果は?

マウスウォッシュを使用するとすっきりして歯の汚れまで取れて口臭も予防される気がします。しかし、マウスウォッシュには歯周病の原因になる歯垢除去効果はありません。それよりも自分で歯ブラシをして歯垢を除去する方が口臭の予防につながります。なお、マウスウォッシュの中でも殺菌効果の高い商品に至っては、長期間使用すると歯の表面を溶かしたり、歯茎に炎症を起こすといった症例も報告されているので注意が必要です。

4.人間の身体は殺菌すればよいものではない

人間の身体には多くの細菌が常在することでバランスをとっています。したがってむやみに消毒をすることは多くの弊害を生みます。口腔内と同様に皮膚の消毒しすぎにも注意が必要です。

手のひらなどの皮膚の表面には「常在菌」と呼ばれる菌が存在し、外部から侵入しようとする菌の増殖や侵入を防いでいます。これらの常在菌はとてもデリケートであり、過剰に消毒をしたり、手洗いをするとバリア機能が低下し、むしろ感染や手荒れの原因となるのです。私は、どこに行っても手を消毒させる風潮に不安をもっています。

5.まとめ

  • マウスウォッシュで口腔内の常在菌まで殺菌してしまうと糖尿病や肥満のリスクが高まります。
  • マウスウォッシュは歯垢除去効果はないため、正しい歯ブラシの方が口臭の予防効果があります。
  • 人間の身体には多くの細菌が常在することでバランスをとっているため、むやみに消毒をすることは多くの弊害を生みます。
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