私は、殆どお酒を飲みません。
しかし、雰囲気は好きなので、結構飲み会には出席します。
そのためか私の知り合いには、“酒乱”の人達が数人見えます。
私が定義する“酒乱”とは以下をさします。
① 飲み会の中で、同じ話を繰り返す。・・同じ話を1-2時間の中で10回以上繰り返します。
その姿は、まさに高度認知症の患者さんです。
多量のアルコールは、脳の神経細胞にダメージを与えます。
我々専門医は、認知症患者さんの中でも、多量のアルコール飲酒歴のある方は、CT写真を見れば
すぐにわかります。
なぜなら、年齢に比し、萎縮の度合いが極めて強いからです。
② 攻撃性が高まる・・同じ話を繰り返しているうちに、大声を上げて攻撃性が出てくる方が見えます。
それ対して、口答えでもしようなら、攻撃性はさらに高まってしまいます。
そのため、周囲は、心優しく黙って聞いています。
酔っていないものからすると、その姿は異様です。
③ お店の方に迷惑をかける・・ある意味、もっともかわいそうな方がお店の方です。
何を言われても、言い返すことはできません。
無理難題も押し付けられます。
二度と来るなとも言えません。
以上の3点が酒乱の定義です。
『私は、大丈夫』とは簡単に思わないでください。
人間は、年を取るとともにお酒にも弱くなっています。
今まで、ぎりぎり酒乱でなかった人でも、次第に“酒乱”になっている方も見受けられます。
そのため、一緒にお酒の席に居られた方からの話には、素直に耳を傾ける必要があります。
ところで、酒乱になるような大量飲酒する方は脳出血の頻度が高くなります。
適正なアルコール飲酒は心筋梗塞や脳梗塞の頻度は下げますが、脳内出血については飲めば飲むほどにリスクが高まります。
この場合の脳内出血は、私がお勧めしている頭部MRA検査でもわかりません。
なぜなら、MRA検査は、動脈瘤の破裂によるくも膜下出血は予測できますが、多量飲酒による脳内出血は予期できません。
この場合の脳内出血は血管壁が脆弱なることに起因されるからです。
“MRA検査が正常であったのに脳内出血を起こした”と文句を言われてもしょうがありません。
あくまで、生活習慣が引き起こしたものですから・・
私の周囲の”酒乱“の方々、不思議と通常は魅力的な方が多いのです。
いつまでも、その”魅力“を維持するためにも”酒乱”は避けるような飲酒をされることを、お勧め〈警告?〉します。