最近、昔の名画のDVDが再販されています。やはり名画といわれる映画は、改めて観ても良いものです。しかし、先日観た“卒業”はロマンチックなラブストーリーだと思っていましたが、感じ方が変わっていました。『卒業』は、1967年にアメリカで制作され、全篇にサイモン&ガーファンクルの曲が流れる名画です。若いころには何度か見た記憶があります。また、大塚博堂の名曲『ダスティン・ホフマンになれなかったよ』もこの映画を取り上げたものです。
映画の中では、大学を卒業し前途洋々のベンジャミンが、中年女性ロビンソン夫人に誘惑されます。昔は、ロビンソン夫人に嫌悪感を抱いたのですが、今の自分の年齢よりも若い設定でとても魅力的に感じました。
さらに、ロビンソン夫人の娘のエレインがベンジャミンのどこに魅力があって惚れたのか、さっぱり分かりませんでした。大学卒業してぷらぷらして、親のすねかじり。ベンジャミンがミセス・ロビンソンの誘惑にまんまと乗ってしまうのは、若さゆえに仕方が無いとして、ストリップバーでの初デートで侮辱されたエレイン。なぜベンに惹かれる??ロビンソン夫人の夫にバレたときは「握手みたいなものです」ととんでもない侮辱。
後半はベンジャミンのストーカー行為の応酬です。たった1回のデートで相手の承諾も得ずに勝手に結婚を決意。エレインの大学の近くに部屋を借り、声をかけるわけでもなく彼女を監視、時に執拗な尋問。現在なら、間違いなくストーカー行為です。その上、相手が結婚すると知ると、嘘や身分詐称で結婚式の場所を聞き出し、最後は花嫁を略奪。エレインが拒否すれば間違いなく警察沙汰です。
花嫁を奪い取られた、医学生には何の罪もないわけですから、いい迷惑です。有名ならラストシーンですが衝撃的というか、とても納得はできませんでした。最後のバスの後部座席で、ベンジャミンの横顔を見つめるエレイン。ベンジャミンは、構わず前を向いたまま、何を考えているかも不明。もちろんこの先の案も無い。エレインの表情に、一抹の不安と困惑が見て取れた気がしました。
やはり自分自身が年を取ると同じ映画でも、感じ方が変わってしまうことを痛感した映画でした。昔観て感動した方には、是非改めて観られることをお勧めします。