社会人基礎力としての「課題発見力」・・医学部同窓会で

社会人基礎力としての「課題発見力」・・医学部同窓会で

先日、久しぶりに医学部時代の同窓会に参加しました。卒業してからすでに35年経ち、皆それぞれの分野で活躍し、すでに第一線から引退した人もいれば、今なお多忙な日々を送っている人もいます。驚くべきは、その多くが“今なお成長を続けている”という事実でした。そして、その背景には「課題発見力」という、社会人基礎力の本質があると感じたのです。

目次

1.頭の良さだけでは成功し続けられない

同窓会で再会した仲間たちは、やはり皆、例外なく「頭が良い」。これは学生時代から分かっていたことですが、それが35年後も輝きを失わないことに改めて感心しました。しかし、同時に気づいたことがあります。それは、「ただ優秀である」ことが、長期的な人生の成功や充実につながるわけではない、ということです。

真に感銘を受けたのは、「自分の課題を自分で見つけ、それに向けて行動を起こしている人たち」が圧倒的に多かったということ。単に診療や研究の成果だけではなく、リタイア後の生きがいや社会貢献活動においても、その姿勢が貫かれていたのです。

2.趣味に“課題”を見出すセンス

ある同級生は、毎週レッスンに通いながらアマチュアオーケストラで活動しているそうです。さらに自分の子供よりも年下のバイオリニストに交じってコンクールに挑戦し、見事に3位に入賞していました。

単なる娯楽ではなく、趣味の中に“乗り越えるべき課題”を見出し、それをクリアしていく姿勢には、まさに医師としての論理性と探究心がそのまま応用されているように思えました。

3.健康への取り組みも“目的志向型”

また別の友人は、生活習慣病を予防するためにトライアスロンに挑戦し、10回以上も完走しているとのことでした。最初は健康診断の数値に危機感を持ち、「なぜ自分が太ったのか」「なぜ血糖値が上がったのか」を自己分析したところから、生活を再設計したそうです。

ここにも課題発見力があります。ただ医師として健康の知識があるというだけでなく、自分の生活を客観視し、問題を明確化し、改善のための仕組みを実行できる能力。これは医師としてだけでなく、社会人として必要な力であることを再認識しました。

4.教育への情熱は“次世代への投資”

そして印象深かったのが、研究者の友人が、若い人たちへの積極的に教育の一環として海外の学会に連れていっていることでした。自らは、脳腫瘍に対する新薬が商品化されるような素晴らしい実績を残しながら、次世代への投資も惜しまない。

これも一種の“課題解決”。しかも、社会的な意義を持つ取り組みです。自分の経験から問題点を抽出し、それを次世代の育成という形で還元していく姿勢は、まさに成熟した社会人の姿だと思いました。


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5.社会人基礎力としての「課題発見力」

経済産業省が提唱する「社会人基礎力」には、以下の3つの力があります。

  • 前に踏み出す力(アクション)
  • 考え抜く力(シンキング)
  • チームで働く力(チームワーク)

この中でも、「考え抜く力」の中核にあるのが“課題発見力”です。目の前の現象を「問題」として捉える力、それを解決可能な課題に変換する力、そしてそれに取り組む計画を立てる力。これは、まさに人生の各フェーズで問われる力です。同窓会で感じたのは、医師としてだけでなく、趣味人・家庭人・地域人として課題発見力を発揮している人が、結果として長く幸せに生きているという事実です。

6.おわりに:課題は“見つける”から“育てる”へ

医学部で教わったのは「答えを出す力」でした。しかし、社会に出てから問われるのは「問いを立てる力」。つまり、課題を自ら見出し、深掘りし、取り組み続ける姿勢です。

もし今、少しでも“物足りなさ”を感じているなら、それは新たな課題が眠っているサインかもしれません。人生100年時代において、成長を止めないためには、常に「新しい問い」を持ち続けることが大切なのだと、改めて感じさせられた同窓会でした。

 

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