春というと季節も暖かくなり、活動的になりイメージとしても身も心も軽やかで、爽快になる印象があります。しかし、実際には体調を崩す方も多くいらっしゃいます。そんな方は、実は「春バテ」かもしれません。「春バテ」はさすがに医学用語ではありませんが、春特有の体調不良を言い表すにとても良い言葉だと思います。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が「春バテ」についての実態・対処方法について解説します。
目次
1.春バテとは?
春バテとは、冬から春にかけての季節の変わり目に起こる体調の不良です。せっかく春が来たのに「なんとなく体調が優れない」といった症状に悩まされます。
症状としては、精神的なイライラや落ち込みだけでなく、肉体的に、めまい、立ちくらみ、頭痛、肩こり、便秘、胃部不快感などの様々な肉体的症状も現れます。
2.春バテの原因は?
春バテの原因は大きく分けると以下の3つになります。
2-1.自律神経の異常
自律神経は、覚醒時に優位になる交感神経と、リラックス・睡眠時に優位になる副交感神経がアクセルとブレーキの調整をしながら調整をしています。春は高気圧と低気圧が安定せず、気圧の変動も激しくなります。そのため、寒暖差も激しくなり、昼間暑いかと思えば、朝夕は寒さが強いといったような外的要因が自律神経に負担をかけてしまうのです。
2-2.精神的ストレス
そもそも春は、入学・卒業・就職・退職など出会いと別れの季節です。転勤などで職場環境も変わることがあります。そのような環境変化による精神的ストレスで、精神面だけでなく肉体的な不調を引き起こすのです。
2-3.花粉症
最近では、単純にスギやヒノキといった花粉症が原因なことが多いようです。花粉症はくしゃみや鼻水だけでなく微熱や倦怠感が続くことで身体的・精神的不調を引き起こします。
3.春バテの対象方法
春バテは以下の対応方法が重要です。
3-1.花粉症があれば治療
花粉症があれば、まずは治療をしましょう。眠気を心配される方もいらっしゃいますが、最近の薬は殆ど眠気が出ません。どうしても服薬に抵抗がある方は漢方薬も効果的です。また、病院を受診する時間がなくても、医師が処方するほとんどの薬がネットでの購入が可能です。詳しくは以下の記事も参考になさってください。
3-2.適切な服装を
気温に合わない服装は、体温調節ができないために、春バテの原因になります。寒いからといって、冬物のコートを着たり、昼間暑いからといって、いきなり半袖では、自律神経への負担が重くなります。春には、脱ぎ着をしやすい機能的な服装がお薦めです。カーディガンや軽めのパーカーなど、暑くなったら脱いで、寒くなったら羽織れるように気を付けましょう。
3-3.良質な睡眠を
「春眠暁を覚えず」というように本来は、春は寒さから解放され体の緊張も緩み、熟睡しやすくなることから心地よい眠りに誘われやすいとされています。しかし、ストレスの多い現代社会では春になっても良質な睡眠がとれないことが増えています。最近の報告では、春に良質な睡眠がとれないため、いつも眠気がとれない人がいるといわれています。
良質な睡眠のためには準備が必要です。まずは早起きをしてしっかりと日光を浴びましょう。そうして昼間もできるだけ身体を動かしましょう。そして、夜には、ぬるめの温度のお風呂にゆったりとつかり、眠る前にスマホなども見ないようにしましょう。単純ですがこれだけのことで良質な睡眠が確保できるのです。
4.まとめ
- 気圧や気温の変化が激しい春には「春バテ」が起きやすくなります。
- 春バテの原因は、自律神経・環境変化・花粉症です。
- 春バテの改善には、花粉症の治療・適切な服装・良質な睡眠が大事です。