平成23年7月18日(月)に名古屋市博物館で甚目寺観音展を見てきました。
あま市(旧海部郡甚目寺町)の鳳凰山甚目寺は、飛鳥時代、推古天皇5年(597)に創建されたという縁起をもつ、
尾張地方でも屈指の古刹です。境内からは白鳳時代の軒丸瓦も出土し、その長い歴史をうかがわせます。
本尊の観音菩薩の霊験は御伽草子「うばかわ(姥皮)」により諸国に響き、一遍上人が七ケ日の行法をおこなった地としても知られます。
重要文化財の南大門に立つ阿形(あぎょう)と 吽形(うんぎょう)の仁王像は、寄せ木造りです。
高さはそれぞれ3.5mと3.6mで凄い迫力です。最近まで伝来が分からなかったのですが、今回、2008年に始まった解体修理で、2体の腹部の裏側に墨書が見つかったのです。
墨書から福島正則が 奉納したことが判明。吽形もほぼ同内容でした。
正則はあま市の旧美和町の辺りで生まれ、1595(文禄4)年から5年間、清須城主として一帯を治めていたようです。
2011年は福島正則の生誕450周年にあたり、本展では、この仁王像の修復完成を記念し、寺宝と歴史を紹介しているのです。
その他、愛染明王坐像も見ごたえがありました。人間の情欲を浄化し、強い求道心に転化させる力を持つとされる仏さんです。
修理中に胎内仏が発見されましたが、公開は今回が“最初で最後”になるようです。
その他、江戸時代、名古屋城下の人々にとって甚目寺は霊場であるとともに、行楽地でもあり、大にぎわいであったようです。
イベントを仕掛ける甚目寺の経営努力や、画家や文人が訪れる文化サロンとしての甚目寺についても紹介されています。
予想以上に見ごたえのある展覧会です。お勧めです。