運動が認知症の予防・改善に効果的であることが様々な方面でPRされています。しかし、もともと運動が苦手であったり、ほとんど運動をしたことがない人にとっては、運動すること自体に躊躇してしまいます。しかしこのほど、もともと運動機能が低かった方でも、高齢者になってからでも運動を開始すれば認知症を予防することができることが明らかになりました。
今回の記事では、認知症専門医の長谷川嘉哉が認知症を予防するための運動に遅すぎることはない理由と運動の方法をご紹介します。
目次
1.高齢者になってからでも運動で認知症予防になるという研究結果が出た
ノルウェー科学技術大学からの研究報告です。
1984年から1986年にHUNT調査の第一波として約75,000人の平均年齢60歳のノルウェー人が登録した。11年後、HUNT2が組織され、同じ参加者から約33,000が登録した。30,000人以上が充分な回答をして、今回の分析に含められた。
1995年から2011年の間に別の研究の参加者中920人が認知症と診断された。そのうち320人はHUNT1とHUNT2にも参加していた。
データ解析の結果、HUNT1と2で心肺フィットネスが低かった者に比べ、高いフィットネスを維持していた者は認知症のリスクが40%低かった。2回の調査の間に心肺フィットネスが上昇していた者は、認知症のリスクが48%低かった。
この研究の主任研究者のアテフェ・タリ教授は、「運動を始めるのに遅すぎることは絶対にない。我々の研究の参加者の平均年齢は開始時で60歳であり、心肺フィットネスの改善は認知症リスクの低下と強く関連していた。改善によって認知症なしに2年長く生きることが期待できた」と語っている。(報道原文:https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-11/nuos-ifc111419.php)
2.心肺フィットネスとは?
心肺フィットネスとは、聞きなれない言葉ではないでしょうか? 別名「心肺持久力」というと少しイメージが沸くのではないでしょうか。運動をしている際の、筋肉への酸素供給力と筋肉の酸素消費能力を含めた言葉です。心肺持久力は、一定の運動を長く続けることができる体力や粘り強さを指します。そのため保健医療分野では、「体力向上」のためには心肺フィットネスが最も重視されます。
3.心肺フィットネスを高める方法
心肺フィットネスを高める方法をご紹介します。心肺フィットネスは、有酸素運動の能力と関係が深いため、機能を高めるには、強度の低い運動を長い時間続けることが必要です。低い強度の運動の目安としては、運動中に会話ができることを目安にしてください。ウォーキング、軽いジョギング、水泳、サイクリングなど、全身を使う有酸素運動がお勧めです。
心肺機能を高めるトレーニングを行うと、毛細血管が発達して、筋肉への血流量が多くなり、酸素を取り込む能力が高まり長時間のエネルギー供給が可能となります。その結果、身体活動量が増え、生活習慣病の予防にも効果を見せるのです。
4.心肺フィットネスの認知症以外への効果?
心肺フィットネスを高めることは、認知症以外にも効果があります。多くに大規模臨床試験が行われていて、以下のような効果も認められています。
- 心臓死とその他全ての死因の予防に関わること:毛細血管の発達が心臓への負担を減らし、生活習慣病も改善することが、心臓死の予防につながるのです。
- 大腸がん、肺がんの予防、および大腸がん、肺がん、前立腺がんによる死亡リスクの低下:循環器系だけでなく、悪性腫瘍の死亡リスクまで下げてしまうのです。
- 加齢に伴う血清コレステロール値の上昇を約15年分遅らせることができる:加齢によるコレステロールの上昇は多くの疾患の原因となります。しかし、安易に薬の投与も避けたいものです。心肺フィットネスを心がければ、コレステロールの上昇も遅らせることができるのです。
5.手軽な運動ツールとしてブレイングボード®がお薦めな理由
心肺フィットネスを行うといっても、運動が苦手であった人が長時間の有酸素呼吸運動を習慣化することは難しいものです。その上、ある程度の年齢になって、特に冬場の寒い時の屋外での運動は、身体に負担をかけます。
そんな時には、ブレイングループが開発したブレイングボード®がお勧めです。ブレイングボード®は、傾斜がついたボードの上でトレーニングが行えるものです。その結果、「有酸素運動」「筋力トレーニング」「柔軟性向上」「バランス性向上」の4つの運動を行うことが可能です。
その中でも、ブレイングボード®の上でのマーチングは有酸素呼吸運動として最適です。ブレイングボード®の上で青竹踏みのように足踏みします。目安は、1〜5分。やってみると、緊張した足の裏に適度な刺激が伝わり、筋肉が柔らかくほぐれていきます。さらに傾斜がついていることで1〜5分でも負荷がかかることが実感できます。
詳しくは以下の公式サイトなどをご覧ください。
6.まとめ
- 「運動を始めるのに遅すぎることは絶対にない」という研究結果が発表されました。
- 特に、心肺フィットネスは、認知症だけでなく、心臓死、悪性腫瘍にも効果があります。
- 手軽に行う、心肺フィットネスとしては、ブレイングボード®もお勧めです。