頭部CT検査とは・CT撮影が有用な疾患と不要な疾患を脳神経内科専門医が解説

頭部CT検査とは・CT撮影が有用な疾患と不要な疾患を脳神経内科専門医が解説

脳神経内科では、「頭が痛い」、「手がしびれる」、「ふわふわする」といった症状で受診される方を専門に診察します。そんな時には、まずは頭部CTを撮影します。日本のクリニックのCT保有数は100万人あたり107.2台であり、G7平均の25.2台、OECD関連国の25.4台と比べても断トツでトップです。そのため、当院のような開業医レベルでもすぐに頭部CTが撮影できてしまいます。

そんな頭部CT検査ですが、これだけで診断ができる病気もあります。しかし、頭部CTが正常でも、さらに精査が必要なものもあります。中には、CT撮影が本当は不要な病気もあります。今回の記事では、脳神経内科専門医の長谷川嘉哉が、頭部CTの正しい知識と検査の意味についてご紹介します。

1.頭部CTとは?

頭部CT検査とは、X線を使って頭蓋内を輪切りにして撮影するものです。脳を上から覗いたような画像が、5〜10㎜間隔で描かれるため、診断に有用な情報を得ることができます。

実際には、筒のような機械の中に入って撮影します。初めてですと圧迫感を感じますが、検査自体は1〜2分で終了しますので安心です。

費用としては、初診で頭部CTを受けると、3割負担で5〜6000円かかります。ただし、休日、時間外、さらに血液検査なども行うと費用は高くなります。

Mature woman undergoing MRI scan examination at medical clinic.
頭部CT撮影の様子

2.頭部CTが有用な疾患

頭部CT撮影が有用な疾患には以下があります。

2-1.頭部CTのお陰で脳卒中が死語に

頭部CTが開発されるまでは、脳出血と脳梗塞の鑑別は困難でした。臨床的には、脳出血も脳梗塞も区別がつかなかったため、両者を総称して脳卒中と呼んでいました。現在では、頭部CTで一瞬で脳出血と脳梗塞の鑑別ができるため、脳卒中という言葉はあまり使われなくなりました。

intracerebral hemorrhage.
脳出血の様子

2-2.脳腫瘍の診断

脳腫瘍の診断にも、頭部CTは威力を発揮します。但し、数mm単位の小さいものや、骨の影響を受ける部位の診断は苦手です。必要な時には、造影剤を使うことで、診断効果が上がります。

2-3.脳の萎縮

脳の萎縮の診断には、頭部CTで十分です。萎縮の診断だけであれば、あえてMRIは不要です。ただし、認知症の患者さんの脳萎縮の程度は、臨床症状とあまり関係はありません。「萎縮があっても正常な患者さん」もいますし、「萎縮がなくても認知症の症状がある患者さん」もいらっしいます。

3.頭部CTだけでなくさらにMRI・MRAが必要な場合

ただし、頭部CTの検査だけでは不十分なケースもあります。

3-1.一過性の手足のしびれ、運動障害

一過性に手足のしびれや、麻痺が現れた場合は、改善したとしても頭部CTだけでは安心してはいけません。頭部CTは現在、病変がないことを示しているにすぎません。理屈としては、頭部CTを撮影して異常がなくても、直後に脳梗塞を発症することがあります。これは、脳の血管が狭窄していることが原因であり、頭部MRAで確認する必要があります。このような病気を一過性脳虚血発作(TIA)といいます。詳細は、以下の記事も参考になさってください。


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3-2.激しい頭痛

体験した患者さんによると、「バットで頭を殴られたような頭痛」といいます。このような症状の原因は、クモ膜下出血といいます。ある程度の出血量であれば、頭部CTで診断は可能です。しかし、微量の出血の場合、頭部CTの診断は困難となります。このような場合は、さらに頭部MRAでクモ膜下出血の原因である動脈瘤の精査を行います。

3-3.CTで映らない、腫瘍を疑う場合

CTには、診断が難しい腫瘍があります。特に、脳幹部周辺の5㎜以下の病変の診断はCTでは不可能です。この場合は、頭部MRIによる精査が必要です。

*脳幹部:大脳より下部の部位。上から順に,中脳 、橋 、延髄で構成されています。

4.偶然病気が見つかることもある

以上のように、患者さんの状態で頭部CTだけで十分なケースと、さらに頭部のMRA検査までが必要なことがあります。ただし、症状に関係なく偶然病気が見つかることがあります。

4-1.頭痛に頭部CTは不要なのだが…

例えば、頭痛を訴える患者さんの場合、クモ膜下出血のような激しい頭痛は稀です。大部分は、筋肉性・血管性・神経性の頭痛です。そのため、私が若いころは、厳しい上司からは頭痛で頭部CTを撮影すると「意味がない」といって怒られることさえありました。

4-2.頭痛・めまい・手の痺れで頭部CTを撮影する理由

しかし、当院では脳神経内科専門医として、頭痛・めまい・手の痺れを訴える患者さんには全例頭部CTを撮影しています。この理由は、偶然に脳腫瘍などの病変が見つかることがあるからです。この場合の腫瘍は、まだ症状の原因にはなっていません。しかし、早期発見できることで手を打つことができるようになります。

4-3.頭部CTの結果が安心を与えることも

さらに、頭痛・めまい・手の痺れの患者さんの多くは、頭の中の病気を心配されています。念のためのCT検査をし、異常がないことが分かるだけで安心して、症状が改善することも沢山あるのです。

5.まとめ

  • 患者さんの状態で頭部CTだけで十分なケースと、さらに頭部のMRA検査までが必要なことがあります。
  • 頭部CTの結果による安心で、患者さんの症状が改善することもあります。
  • 日本のCTのCT保有数は100万人あたり107.2台であり、世界の中で断トツでトップです。
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