私は、高齢の在宅患者さんに、「過去に生命保険に加入していたことはありませんか?」と質問することがあります。ご家族は、「高齢ですので生命保険には加入していません」とお答えになる方が多いのですが、中には、保険金の払い込みが終わった終身保険が残っている方が結構いらっしゃいます。
そんなケースが何例も続くと、「自分が質問しなかったら、その保険は無効になるのでは?」と不安になります。生命保険などは、被保険者がお亡くなりになった際に、遺族が保険会社に請求しなければ保険金は払われません。皆さんも、自分の親が過去から現在に至るまで、どんな保険に加入しているかは把握していないのではないのでしょうか?
そんな不安に対応するべく、「生命保険契約照会制度」が創設されました。この制度は、契約者・被保険者が死亡や認知判断能力が低下している場合に、法定相続人、法定代理人、3親等内の親族などからの照会を生命保険協会が受け付け、照会対象者に関する生命保険契約の有無について一括して生命保険各社に調査依頼を行い、生命保険各社における調査結果をとりまとめて照会者に回答する制度です。
費用が一照会で3000円程度かかりますが、これで把握していなかった保険により支払いが受けられれば儲けものです。これからの時代、高齢者が独居で亡くなったり、認知症患者さんが増加すると、家族だけでなく本人さえも、生命保険契約を把握できないことが増加してきます。この制度は、多くの方が知っておかれると良い情報と思われます。