脳と腸は密接に関係しています。皆さんも、緊張して下痢をしたり、逆にお腹の調子が悪くなって、不安感が強くなることはないでしょうか?
このような脳と腸の関係性を脳腸相関(腸脳相関とも)と言います。ならば、脳と腸の関係を良好に保つことは、健康増進につながるはずです。
実はその最も効果的な方法はお腹を温めることです。私は、長年、眠る前には目とお腹を温めることを習慣にしています。今回の記事では、認知症専門医の長谷川嘉哉が、お腹を温めることが全身の健康に効果がある理由とその効果的な方法をご紹介します。
目次
1.脳腸相関とは?
脳腸相関とは、脳と腸が影響を及ぼしあうことを示す言葉です。脳が腸に影響を及ぼす場合は、「脳が自律神経を介して腸にストレス」を伝えます。ストレスによって、お腹が痛くなって便意をもよおすことが良い例です。
一方で、腸が脳に影響を及ぼす場合は、「腸の調子が悪くなると脳で不安が増す」ことが報告されています。最近では、中国で、腸内細菌に対する薬が、認知症の進行を抑える効果があることがわかったとも報道されています。もしかすると、脳腸相関の改善が、認知症の新しい薬のきっかけになる可能性もあるのです。
2.お腹が冷えていることを自己診断するには
実は、知らないうちにお腹が冷えている方がいらっしゃいます。自己診断のためには、自分自身の手をお腹に当ててみてください。通常、お腹の周囲の温度は36度前後です。対して、手の温度は27度前後です。そのため、自分の手をお腹に当てて、お腹が冷えていると感じたり、あまり温度差を感じない場合は、お腹が冷えている可能性があります。実は、私も真夏の暑い日に、自分のお腹を触って、冷たいと感じました。それ以降、お腹を温める必要性を感じたのです。
3.手術歴がある人は特に、お腹の冷えに注意!
特にお腹を冷やしやすい人がいらっしゃいます。それは、腹部の手術を受けたことがある方です。傷口は、通常より冷えやすく、時に張ったような痛みが起こります。
私も乳児の時に肥厚性幽門狭窄症の手術歴があります。傷口は臍の右上に数㎝の一本の筋が残ります。子供のころは、良く腹痛を起こしたのですが、当初は、原因や理由が分かりませんでした。大人になると経験的に「冷え」が原因であることが分かりました。そのため、年中、傷口を冷やさないように注意することで対応できています。
腹部の手術を受けた患者さんには、腹痛の原因がわからずに不安になって受診される方もいらっしゃいます。しかし、手術を受けたことがない医師の場合、「異常はありません」で終わってしまいます。そんな時、私は、「お腹を温めてください」とアドバイスするようにしています。肥厚性幽門狭窄症については以下の記事も参考になさってください。
4.お腹を温める効果とは
お腹を温めると以下のような効果があります。
4-1.全身が温まって冷え性が改善
手足の冷えで悩んでいる方は多いものです。そのために、手や足を温めても、その場しのぎです。多くの臓器が集まっているお腹を温めることで、体温が上昇します。その結果、手足の血管が拡張することで、根本から冷えが改善します。
4-2.免疫力が亢進
体温が高いほど、免疫細胞は、活発にウイルスや細菌から守ってくれます。特に、腸に常在している免疫細胞は、身体全体の60-70%を占めています。お腹を温めることで、腸内細菌の活動が活発になり免疫力が亢進するのです。
4-3.代謝の亢進がおき太りにくい
お腹を温めることで、栄養素や酸素が、温まった血液の流れに乗って、身体全体に運ばれます。その結果、細胞の働きが活発になって、新陳代謝が活発になります。つまり、安静にしていても基礎代謝が上がるため、太りにくい身体を作ることができるのです。
4-4.便秘の改善
便秘の改善には、食事も重要です。しかし、私の患者さんでも、野菜などでしっかり食物繊維を摂ったり、ヨーグルトを食べても便秘が改善しない方がいらっしゃいます。こんな方がお腹を温めると、腸の血流が改善して、蠕動運動が活発になって、排便が誘発されやすくなることを実感しています。
4-5.生理痛の改善
生理痛は、プロスタンジンという物質が、過剰に分泌されることで、子宮を収縮させることで引き起こされます。お腹が冷えて、血液の流れが悪くなると、プロスタンジンが骨盤内に停滞して、さらに生理痛を強くしてしまいます。お腹を温めることで、血液の流れが改善すると、生理痛を和らげることができます。
4-6.メンタル面の安定化
脳腸相関の観点からも、腹部の血流が悪くなると、気持ちも沈みがちになります。お腹を温めることで、気持ちも前向きになって、ストレスにも強くなり、身体も心もリラックスすることができるのです。
5.お腹を温める一般的な方法は
具体的には、以下の方法でお腹を温めます。
5-1.貼るカイロ
使い捨てカイロは手軽でお薦めです。私は、冬場では、ほぼ毎日使っています。東洋医学には「冷えは万病の原因である」という考え方があります。とくに全身が冷える時、おへそより指2本分下にある「気海(きかい)」というツボを温めるのが効果的です。毎日温めることで、常にコンディションが安定して、元気に過ごせる魔法のツボと言われています。
5-2.腹巻
私は、学生時代でさえ、夏のクーラーが効いた部屋では腹巻をしていました。時々、見えそうになって恥ずかしい思いをしたこともあります。最近は、デザインもお洒落ですからお薦めです。但し、締め付けが強すぎると血液の流れが悪くなりますので、注意してください。
5.長谷川が最もお勧め・愛用中の「あずきのチカラ おなか用」
カイロを張ることや、腹巻に抵抗がある方は、寝る前にお腹を温めることをお勧めします。これには、「あずきのチカラ」シリーズのお腹用を使っています。実は私は目を温めるのに「あずきのチカラ」をそれ以前から愛用していました。
「あずきのチカラ」の魅力的なところは、何度でも繰り返し使えるところ。さすがに無限に使えるわけではありませんが、メーカーによれば250回も繰り返し使えます。あずきは、温めることで天然蒸気が出て、お腹の奥までじんわり温まります。その際に、とても良い香りがするので、とても心地よいです。
お腹用は、表の裏で、高温用と低温用に分かれており、好みで使い分けられます。私は、高温用が好みです。もちろん高温用と言っても火傷をするような温度ではないので安心です。
目を温めて疲れ目を改善する方法については以下の記事も参考になさってください。
6.まとめ
脳と腸が影響を及ぼしあうことを脳腸相関と言います。
腸を温めることは、脳にも良い影響を与えます。
特に、「あずきのチカラ」シリーズで寝る前にお腹を温めることはお薦めです。