【お勧め本のご紹介】これが認知症介護の現実です「終の盟約(楡周平著)」

【お勧め本のご紹介】これが認知症介護の現実です「終の盟約(楡周平著)」

認知症介護で、問題となるのは、物忘れではありません。幻覚、妄想、興奮、不穏、徘徊、焦燥、社会的に不適切な言動、性的逸脱行為、暴言、抑うつなどといった周辺症状で困るのです。特に、性的逸脱行為は、患者さんの過去の人生をも台無しにしてしまいますし、家族の精神的ショックも大きいものです。

さらに、2000年4月の介護保険施行後より、入所における費用負担は莫大です。まさに、「介護はお金で解決」できる時代になっています。つまりお金がなければ家族の介護負担は長期に及ぶのです。

周辺症状で困り、お金でも解決できないご家族が、認知症患者さんの死を迎えたときに感じることは、「安堵」です。ならば、認知症患者さんの安楽死も検討しては良いのでは?

そんな、介護現場の現実をストーリ仕立てにしてくれたのが、楡周平の「終の盟約」です。読んでいると、気がめいってきますが、どうか直視してください。

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本の中身を少しご紹介します。


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  • 「父は、こんなこともいっていましてね。死ぬならガンがいい。ガンは優しい病気だと……」
  • 「ガンが優しい病気だというのは、家族にも優しい病気だからだと父はいっていました。余命は看病する期間だ。覚悟も決められれば、その間、精一杯頑張ろうって気にもなると……。認知症は違います。体は健康なのに、意思や行動のコントロールが利かなくなるんです。そして、いつまで続くか、ゴールは誰にも分からない。患者と一緒に家族も走り続けなければならないんですから……」
  • 安楽死は一刻も早く苦しみから解放し、死を迎えさせてあげること。延命治療の中止は、自然死させること。両方とも、治療の術はない。もはや死を迎えるその時まで、症状が悪化していくだけで、患者に回復の見込みがないという前提条件は同じなわけです。違いは自然死させるか、楽に死なせる処置を施すかどうかの一点だけ。
  • 家族に大きな負担をかけてまで、世話になりたいなんて考える人間はまずいない。できることなら、専門の施設に入りたい。そう考えている人がほとんどのはずだ。
  • 自分の中に潜んでいるなにかが、ある日暴れ出す。意志の力では、どうすることもできない。いえ、意志があるのかどうかすらも分からなくなる……。それって、自分が自分じゃなくなるってこと
  • 母親の死に直面した時には、微塵も抱かなかった感情が胸中を満たしていくのを輝彦は感じていた。それは安堵である。
  • 父が恐れていたのは、死ぬことではなく、生かされ続けることだった
  • どんな状態になろうと、大切な人には一日でも長く生きて欲しいと誰しもが思う。だけど、自分が介護される側になったらどうなんだろう。介護されて当たり前だと思う人間はいないだろうし、むしろ、家族に負担はかけたくはない。一日も早く死なせてくれ。そう思うもんじゃないのかって……
  • 介護する側とされる側には、意識の乖離が生じているケースが多いんじゃないかと思うんです。だから、尊厳死の法制化が必要なんです。尊厳死が認められれば、延命治療を望むのか否か、本人はもちろん、家族との間でも議論が交わされるようになるでしょう。
  • 「結局は、おカネか……」

お薦めです。

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