池井戸潤さんの『シャイロックの子供たち』を小説・映画・コミックの3つの媒体で体験しました。小説は読みごたえがあって、一気に読んでしまいます。ただし、それなりに読むための時間が必要です。映画も122分があっという間でとっても面白かったです。しかし、原作の小説が相当カットされていた点も事実です。その点、コミックは小説の内容をほぼ完ぺきに網羅、映画に負けずにイメージも伝わります。そのうえ1時間もかけずに読むことができます。そのため私個人としては、まずは『シャイロックの子供たち』のコミック版を読み、その後に小説・映画がお薦めだと思いました。以下には小説の中からの気に入ったフレーズを紹介します。
- 銀行という職場では上司に逆らったら負けだ。
- 人事といっても、所詮は上司との人間関係が全てだ。
- 「主力銀行だって?」 友野は大城戸の表情が変わったことに気づいた。 「たしかに、融資残高が一番多い銀行という意味においてはそうかも知れない。だが、主力なりに今まで相応の支援をしてくれたかといえば、はなはだ疑問」
- 銀行はただ単に取引先を利用しているだけだと。だから、こっちも銀行を利用するぐらいの気持ちでないといけない。主力銀行の立場などいざとなったら関係ないというのなら、せいぜいそれまでの間、こちらもいいように利用させてもらうさ。
- 銀行という職場で長く働くには、自らの感情を律し、〝 感情〟 と〝 現状〟 のせめぎ合いを乗り越えて常に仕事に前向きであり続けなければならない。
- 全てを自然に、あるがままに受け入れ、自分がすべきことをやり通す。結果はあくまでついてくるものだ。最初から評価を考えて仕事はしない。──これは野球だけでなく、仕事にも共通した鉄則
- 部下の悪口イコール自らの保身。こういう管理職が、一番質が悪い。
- 検査部へ配属される行員は、たいていが出世競争の脱落者たちだ。臑に傷持つ連中が、ここぞとばかり弱い者虐めをする──。そんなふうに検査部に対して敵愾心を抱いている者は銀行内に少なく
- 本質論を一顧だにせず、ただ上司に背いたというだけで悪いという。これでは銀行は軍隊と同じ
- 不思議なことに、出世とか昇格とか、そんなものとは無縁の人間たちほど、魅力的
- 負け犬は最初から負け犬なのではなく、負け犬だと思ったときから負け犬
- 業績を上げるためには、客のことを考えてはだめだ、と気づいてから成績が伸び出した