【お薦め本の紹介】がんになってわかったお金と人生の本質

【お薦め本の紹介】がんになってわかったお金と人生の本質

ファイナンシャルプランナーの山崎元さんは、銀行、証券会社、保険会社の片棒を担ぐことなく本当に庶民のためになる情報を提供してくれていました。残念ながら食道癌でお亡くなりになりましたが、最後の最後まで、『癌になってもがん保険に加入する必要性はなかった』など貴重な情報を伝えてくれています。ご冥福をお祈りするとともに数々の貴重な情報に感謝です。

  • 癌は全てが投資やお金と関係する訳ではないが、本人にとって「不確実性下の意思決定」の問題である点が投資とよく似ている。
  • 癌患者の状況は、投資の初心者が直面する問題とよく似ている
  • 職業上、意思決定では「サンクコスト」(既に生じてしまって後から取り返しのつかない損失のこと)を無視して、今後に変えられることに意識を集中するような習慣付けがあった
  • 一年に一度程度の内視鏡検査の不愉快は、癌が見つかる段階での「コストの差」を考えただけでも正当化できるような気がする。
  • 仮に早期で発見しても既に見えない転移があって助からないような「本物の癌」であったとしても、初期の治療とその後しばらくの生活の差を考えると、「早く見つけた方が良かった」と言えるのではないかと思われる。
  • 長年の飲酒習慣と食道癌・・モルト・ウィスキーは主にストレートで飲んでいた。
  • 利害関係のない、好意的な医療専門家を探す
  • 米国では癌治療のセカンド・オピニオンは、先ず放射線の医者に求めると聞いたことがあった。
  • 結論から言うと、筆者はがん保険に入っていなかった。しかし、それで何の問題もなかったし、がん保険に入らないという意思決定は、筆者以外の広い範囲の人にとってこれからも正しい。
  • がん保険に入ることが確率を考えると大幅に損である一方、万一癌に罹っても自分の手元のお金で十分対処できるからだ。
  • 保険それ自体は、(1)滅多に起こらないことだけれども、(2)起こった場合の損失が破滅的に大きい、リスク・イベントに対して、人が集団で対処する巧妙で賢い仕組みだ。
  • 所得保障保険は、満期が近づくと保障額が小さくなるので、保障額が期間中一定の死亡保障保険よりも保障が小さくなり、必然的に保険料が安くなるからよりローコストで備えることができる
  • 経済学に「地位財」と呼ばれる概念がある。自分の経済的な力・地位を対外的にアピールできる財のことで、不動産、高級自動車、衣装、アクセサリーなどが典型的に該当する。近年では、子供教育などもそうかも知れない。
  • 人は、何らかの地位財について、意図的に競争から降りると、家計が楽になって生活の幸福度が改善することが多い。
  • 筆者は、半ば意図的に、不動産と高級自動車から「降りた」。
  • 特にお酒は、過去 10 年間で飲まない日が3日あっただろうか、というくらい飲んでいた。可処分所得の3割くらいを飲んでいたのではないだろうか。
  • 因みに、私の「○カ月は大丈夫ですか?」という質問は、ダメな投資家が「山崎さん、 20 年の長期投資なら絶対に損はしないですよね?」と同意を求めてくる質問と同じ構造になっている。保証なんてできるはずがない。リスクが消えないからこそ、リターンがあるのだ。
  • 投資するかしないかは、自分で決めろ。少しは頭を使え。と私は思う訳だが、これと同質の質問を癌患者としての私は医師にしている
  • ある日、妻が珈琲を持ってきてくれたところ、入院フロアの事務職さんが「たぶん、娘さんが珈琲を持ってきました」と間違えて報告してくれた。このことの効果は絶大で、間違いが時に人を幸せにする場合があることを知った。
  • 特に「持ち時間」が縮むと、必要な人間関係とそうではない人間関係が、驚くほどクリアに見えてくるのは本当だ。
  • 昔話をしたがる人物には現在全く会いたいという気が起きない。
  • 癌患者には、親切にしないで下さい──これは半ば本音である。
  • 一番ありがたく思えるのは、「聞きたいことがあったら、何でも聞いてね」、「こういうことは知っているけど、あんまりいろいろ言うと、情報過多になるね」とか、「暇つぶしの相手はいつでもするので、気が向いたら呼んで」といったことを言って、放っておいてくれる人である。
  • 要点をまとめると、①なるべく長く働く、②住居は縮小し、モノを減らしてシンプルに暮らす、③便利な場所に暮らす、④介護が必要になったら、施設へ、⑤相続は、本人のアタマがしっかりしているうちに、明確に決める、⑥お墓・お寺と縁を切って、弔いはシンプルに、の六つだ。
  • 施設の近くに家族が住み、頻繁に施設を訪れるようなスタイルが合理的な場合が多いのではないだろうか。
  • 理由が二つある。一つ目は、親はできるだけ子供の活動の制約になりたくない もう一つの理由は、プロによる介護の方が作業の効率がいいことだ。介護は重労働だし、施設の方が「規模の利益」が働く。
  • 人の幸福感の 99%以上は「(自分が)承認されている」という感覚でできている。大金持ちも、貧乏人も変わらない。そして、自分の価値観を自分一人で完結できるほど人間は立派にできていない。厄介だ。しかし、だからこそ人間は面白い。
  • 私の場合は、自分で正しいと思うことを面白く多くの人に伝えて、感心されたり、自己満足したりしたいのだろう。
  • 私がお金について言いたいことは非常にシンプルだ。  それは、お金に感情を振り回されず、冷静に向かい合って欲しいということである。
  • 運用する商品は全世界株インデックスファンドだけでいい。値動きしても一喜一憂しない程度の金額をそこに投入したら、あとは自分がどう稼ぐのか、運用以外の部分を大事にしよう。
  • お金は「増やし方」より「使い方」こそ大切だ お金には「使い時」がある
  • 最後の最後に人生のコツをもう一つ付け加えるなら、「 愛嬌」ではないか。愛嬌のある人は、色々な面で得をする。経済評論家でもそうだし、生活でもそうだ。
  • 愛嬌のある人になるために大切なのは、なんと言っても威張らないことだ。自分のことを笑う心の余裕、これが愛嬌の必要条件だ。あとは、人生全体を通じて身につけるしかないのかな。  愛嬌のある人は羨ましい。
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