私は、医師になって30年を超えます。そんな自分が、「LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界」を読んで、衝撃を受けました。今まで、「年を取れば当たり前」と思ってた概念が覆されたのです。まさに、本の中に書かれているように、「老化は疾患」と認めることで、老化が治療され、健康寿命が延びることで世界を大きく変わるのです。少し、読みにくい文章ですが、内容は素晴らしいものです。特に医療関係者にはお薦めです。
- 私たちは時間をかけて苦しみながら死んでいく。豊かな国に住んでいる人は、次々と病気に見舞われながら人生最後の十数年を過ごすことが多い。
- 平均寿命が上昇を続ける一方で、 最大 寿命のほうはそうなっていない。
- 様々なストレスが寄ってたかってゲノムを痛めつけているときには損傷の修復に専念し、もっと好ましい時期が訪れたときにだけ生殖を許す。
- ゲノムがコンピュータだとするなら、エピゲノムはソフトウェアだといえる。
- 長寿遺伝子は寿命を長くするだけではない。より健康な生涯を送れるようにする。つまり、長寿遺伝子は「元気遺伝子」でもある。
- 適度なストレスが長寿遺伝子を働かせる。
- 生物学的に見て、体がどれだけ年老いているかを確かめる簡単な検査がいくつかある。腕立て伏せが何回できるかは、かなり優れた目安だ。 46 歳以上の場合、 20 回を超えられたらたいしたものである。
- 個々の病気を治療するだけでは健康寿命を延ばせない。
- 栄養失調にならない程度にカロリーを制限すれば、あらゆる生物の長寿につながる。
- 断食と運動を 組み合わせ たら、間違いなく寿命は長くなる。
- 老化が病気と認定されない限り長寿薬は選ばれし者のための贅沢品だ。
- 老化は、51歳以上の人々の93%に不具合を生じさせている。にもかかわらず、 2018 年にNIHが老化にかけた予算はがん研究の10分の1にも満たなかった。
- 結局、ほとんどの人が恐れているのは命を失うことではなく、人間性を失うことなのである。
- 幸いにも寿命研究からは、長生きさせたマウスほど短期間で死ぬ傾向にあるのが確認されている。
ちなみに著者は、以下を実践しているそうです。
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- NMN 1 グラム(1000 ミリグラム)
- レスベラトロール 1 グラム
- メトホルミン 1 グラムを毎朝摂取する。
- ビタミンDおよび K2の1 日推奨量を摂取し、
- 83ミリグラムのアスピリンを服用する。
- 砂糖、パン、パスタの摂取量をできるだけ少なくする。
- デザートを食べるのは40歳でやめたが、こっそり味見することはある。
- 1 日のどれか 1 食を抜くか、少なくともごく少量に抑えるようにする。
- 毎日できるだけ歩くことを心掛け、上の階に行く際には階段を使うようにしている。週末はほとんど毎週、ジムに行く。ジムではバーベルを挙げ、少しジョギングをし、サウナでしばらく過ごしてから、氷のように冷たい水風呂に浸かっている。
- 植物をたくさん摂取し、ほかの哺乳類を口にするのはなるべく避けるようにしている(おいしいのはわかっているのだが)。
- 運動したときには肉を食べる。
- タバコは吸わない。電子レンジにかけたプラスチックや、過度な紫外線や、レントゲンや CT スキャンを避けるようにしている。
- 日中と就寝時は、涼しい場所にいるようにする。
- 健康寿命を延ばすうえで最適の範囲内に BMI(体重[キログラム]を身長[メートル]の 2 乗で割った数値)を保つことを目指している。