『限界国家』は、これからの日本が直面する人口減少や高齢化、働き方の変化を、物語を通して静かに問いかける一冊です。政治や経済の中心にいる人々の考え方が時代の変化に追いつかず、これまで当たり前だった仕組みが少しずつ立ち行かなくなっている現実が描かれます。一方で、技術の進歩や世界とのつながりは、新しい可能性も生み出しています。社会や組織に頼りきるのではなく、自分で考え、学び、選び取る力がこれからは大切になる――そんなメッセージが、やわらかな語り口で伝えられます。将来に不安を感じる人にこそ、そっと背中を押してくれる一冊です。
- 財界、政界に共通しているのは、思考が昭和の時代で止まっていること
- 日本人は変化よりも安定を好む傾向があると思うのです。つまり、今日の暮らしが明日も続く、いえ、長期的に続くことを望んでいる。
- 携帯電話が普及し始めた頃には、すでにそんな時代の到来をいち早く見抜き、着々と技術開発に取り組んでいた人間がいたんだよ」
- 携帯電話がスマホになって、いったいどれだけの製品が消滅したか・・カメラ、録音機、録音媒体、ポータブルプレーヤー、
- 数ある予測の中で、人口動態統計の精度が極めて高いのは当然のことである。
- 二○四○年から五○年の間に、日本の人口は一億人を割り込んで、九七○○万人台に、さらにその十年後、六○年には八六○○万人台になる
- 内需依存の経済が成り立つ時代は、二○四○年代で終わりを告げる
- 「内需依存の経済が成り立つためには、一億人の人口が必要なのに、今現在でも日本のGDPの七割は内需に依存している
- 「日本人の年間給与の平均は四三○万円ちょっと。ところが、世帯別の平均では一○○万円未満が約六パーセント、一○○万円から二○○万円が約一三パーセント、二○○万円から三○○万円が約一四パーセント、三○○万円から四○○万円が約一三パーセント。世帯平均所得は約五五○万円。つまり、世帯全体の所得が、年間給与の平均以下の家庭が五割もいるのね」
- 「深刻なのは○歳から一五歳の人口減少が、とんでもないスピードで進むということです。東京、千葉、埼玉のような人口密集地でさえ二五パーセントの減。最も減少率が高い青森、秋田に至っては四一パーセントも減少する
- 日本人は諦め、割り切り上手なんですよ。どうしようもないとなったら、その時々の状況を受け入れる能力に長けている。ある意味、現実主義者
- 最終的には費用対効果の問題だからですよ。新しい技術を導入して、人件費を減らす方がええのか、それとも職にあぶれた人間を安く使うのが得なのか
- 原発を止めている限りは、少子化なんて改善されません
- この先日本の人口は、減少していくばかり。それすなわち、患者の絶対数、医療産業の市場規模が縮小していくことを意味する
- 僕らの世代はボーッとして生きていたんじゃ早晩野垂れ死に必至って、厳しい時代を生きてんだよ。これから先は、組織に依存するのは最も危険な生き方だし、所得や身分が保障される職業なんてありはしないんだ。
- 今どきテレビ局に就職しようだなんてのは、先が読めてないことを自ら証明しているようなもんだよ。
- 人が減れば、地方の開業医が真っ先に食っていけなくなる
- テレビにせよ新聞にせよ、先細るのは目に見えてるんだよ。なのに、わざわざそんな業界に就職するなんて、先が見えていないって証拠
- マスコミって、ジャーナリストだとか、ジャーナリズムだとか言うけどさ、所詮はサラリーマンの集まり
- 「サラリーマンの世界って、階級社会ですよね。上司の意向、指示、命令には逆らえないんでしょ?」
- つまり、どんな報道にもバイアスがかかってる。だから信じることはできない。読むだけ、見るだけ、時間の無駄
- 百歩譲ってマスメディアに価値があるとしたら、それは〝情報〟だけを伝えてくれる場合だよ。記者や専門家といわれる人たちの論評や解説をつけた途端、何が真実なのか分からなくなる
- 製薬業界では、既存薬が他の病にも効くんじゃないかという研究は禁忌なんです。なぜなら既存薬が他の病にも効く、それも新薬を開発中の病にもなんてことになったら、ビジネスにならなくなるから
- 全国民が医療保険に加入していて、救急車もタダ。その上高額療養費制度なんてものがあって、個人の医療負担額に限度があるなんて国は、世界広しといえども日本だけ
- 医療、製薬業界は厚労官僚の天下り先をたくさん抱えている
- インターネットは人類にとって火そのものになった
- 永々と行われてきた大企業の採用試験とは、根本が言う「埋もれている優秀な人材」を発掘するどころか、むしろ排除することになっている
- 日本にしがみついていたら成功できないし、極端な話、生き抜くのも難しい
- 銀行に融資を仰ごうにも、事業の内容を理解できる行員はまずいませんし、担保がなければ応じてはくれません
- 国に首突っ込ませたら、成功する事業も失敗します
- 経験とか知識ってやつが、通用しない時代になっている
- 限界国家! なるほど、これほど今の日本、近未来の日本を的確に表現する言葉はないだろう。
- 人口減少、産業構造の変化、雇用基盤の脆弱化……、いま日本が直面している問題の数々に確たる策を講じることなく放置しておけば、間違いなくこの国は巨大な限界集落と化してしまうだろう。


認知症専門医として毎月1,000人の患者さんを外来診療する長谷川嘉哉。長年の経験と知識、最新の研究結果を元にした「認知症予防」のレポートPDFを無料で差し上げています。