2025年問題の次に訪れる、就職氷河期世代による2040年問題とは?

2025年問題の次に訪れる、就職氷河期世代による2040年問題とは?

介護の現場では、2025年問題が取りざたされています。2025年問題とは、「団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達する事により、介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念されている問題」です。しかし、2025年問題が解決する前に、すでに2040年問題も次に待ち受けているようです。

2040年問題とは、「2019年現在37歳〜49歳が中心を占める就職氷河期世代が高齢になるため2040年にいろいろな社会問題が起こりうると予想されている問題」です。今回の記事では、老年病専門医の長谷川嘉哉が就職氷河期世代による2040年問題を解説します。

1.就職氷河期世代とは?

就職氷河期世代に明確な定義はありませんが、日本総合研究所の下田裕介主任研究員は197082年生まれの2,300万人強があてはまるとしています。このうち無職者は55万人、望まないのに非正規で働いている人が70万人いると推計されています。(参照 2019年7月29日日本経済新聞の記事より)

2.2040年とは?

2040年とはどんな時代なんでしょうか?

1-1.高齢化世代の高齢化

2040年には、日本の人口は約11000万人になり、1.5人の現役世代(生産年齢人口)が1人の高齢世代を支えると予想されています(国立社会保障・人口問題研究所、2017年推計、出生率・死亡率中位仮定)。その高齢世代の内容も現在とは異なります。2040年には85歳以上人口が高齢人口の3割近くになり、高齢世代が現在よりさらに高齢化するのです。支えなければいけない高齢者の3割が85歳以上とは、同じ一人を支えるにしても負担は重くなるのです。

Development of the city concept.
少ない現役世代で多数の貯蓄・年金が少ない高齢者を支えねばなりません

1-2.誰が支える?

197082年生まれの超氷河期世代は、2300万人ですから、人口構成の中核をしめます。2040年には彼らは58歳から70歳と、一部は、高齢者を支える存在に、一部は自身が高齢者になっているのです。

1-3.不安定な就職氷河期世代

そんな2040年世代は、就職氷河期に安定した雇用を得ることができなかった世代であったため、支えるにしても頼りがいはありません。支えられる側にしても、とても不安定なのです。

3.貧困の高齢化

就職氷河期世代が高齢化すると新たな問題も生じます。

3-1.無年金・低年金

安定した正規雇用がかなわなかった就職氷河期世代は、経済的理由で年金をかけていない無年金者も多く見られます。仮に、年金をかけていても、年金給付額は現役時代の所得に比例するため低年金である可能性が高くなるのです。

3-2.単独世代

正規雇用がかなわなかった就職氷河期世代は、結婚もできずに単独世代である率も高くなります。そのため、経済的に困窮してもささえ支えてくれる配偶者や子供はいないことが多いのです。

3-3.生活保護の拡大

2008年に、NIRA総合研究開発機構が報告書「就職氷河期世代がこのまま高齢化すると……」という前置きで示した数字があります。

就職氷河期に増加した非正規雇用者は、100万人を上回る規模で残存。低賃金かつ不安定。十分な年金が確保されない非正規雇用の人たちが高齢化すると、生活保護受給者が増えることが予想され、「20兆円程度の追加的な財政負担」が発生するという試算結果を提示(参照:ITメディアビジネス

Superannuated housing complex
現在建築が進むインフラの維持縮小にも費用がかかります

4.現在でも未来を暗示する問題が起きている

実は、現在でも2040年問題を示唆するような事例が起こっています。一例をご紹介します。

4-1.若年性アルツハイマー型認知症になった、50歳独身男性

50歳代の独身男性が若年性アルツハイマー型認知症になりました。65歳未満で発症するアルツハイマーは、進行が極めて急激です。正直、日常生活も行えなくなってしまいますので、仕事は早い段階で不可能になります。しかし、50歳独身男性を支える身内はいません。仕事がなくなることで、すぐに経済的にも苦境に立たされています。今後は、行政による生活保護、施設入所が必要になると思われます。

4-2.大腸がんになった40歳非正規雇用の女性

これは、朝倉かすみさんの「平場の月」で描かれていた女性です。彼女は、50歳台前半の独身女性で、年収200万円程度で非正規で仕事をしています。そんな彼女が大腸がんになって人工肛門を増設するというお話です。小説の趣旨は、50歳を超えた男女の恋愛ですが、自分は彼女の経済的苦境が気になってしまいました。現実にも十分に起こりうる話なのです。

このようなことがそこかしこで起こりうる時代が迫っているのです。

5.対策

2040年に向けて、個人ではどのような対策をすれば良いのでしょうか?

5-1.できるだけ正規職を

とにかく正規職を探しましょう。多少、給与が低くても厚生年金に加入できることは最大の魅力です。年金は、障害をもって働けなくなった場合の障害年金、死亡時の遺族に対する遺族年金、そして高齢になった際の老齢年金といった優れた機能を持っているのです。

5-2.介護職は常に正規雇用をウエルカム

「正規職が見つからない」と困っている方も見えるかもしれません。しかし、介護職は山のような求人があり、その中には正規職もたくさん含まれています。その上、殆どが学歴・経験・年齢は不問です。中卒でも、経験がなくても、年齢が50歳を超えていても大丈夫です。やる気さえあれば、介護職を務めることは可能なのです。

5-3.世の中で必要とされている職を探す

最近は、「自分に合った仕事を見つけよう」という風潮が強いようです。しかし、これから2040年に向けた乱世を生きていくには、「世の中で必要とされている職業」で働くことが大事ではないでしょうか? 確かに介護職は、仕事内容の割に給与が低いかもしれません。しかし、5年10年と働いて経験を積めば給与は上がります。その上、不景気にも強いです。(リーマンショックの際に大手が賞与を削った際も、介護職は普通に賞与が払われました。)

何よりも仕事をして給与をもらっていながら、多くの利用者さんから感謝されることは何にも代えがたいものです。介護職のメリットについては以下の記事も参考になさってください。

6.まとめ

  • 2025年問題が解決する前に、すでに2040年問題も次に待ち受けています。
  • 2040年問題とは、現在、37歳〜49歳の就職氷河期世代が高齢になるためにおこる社会問題です。
  • 2040年問題を乗り切るためにも、多くの方に介護職で正規雇用の職に就いてもらいたいものです。
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