先日、面白い本に出会いました。『下町ロケットby池井戸 潤』です。
元ロケットエンジン研究者が失敗の責任を取って研究所をやめた後、佃製作所という親の町工場を継いだところから始まるビジネス小説です。
町工場の佃製作所が大手企業から降りかかる様々な難局に立ち向かい、ギリギリのところで乗り切ってゆく姿はエンターテーメント性も抜群ですし、主人公がつねに突きつけられる難局の中で
「会社とは?」「仕事とは?」「生きるとは?」を問いながら選択をした結果、反対者、傍観者、協力者との関係性や態度が徐々に変化する様子は感動ものです。
特に会社が大変な際に、不思議と家庭の事情も悪化する点は、中小企業経営者なら共感するのではないでしょうか?
特に、私が経営者として共感した点は以下です。
①ビジネスをしていれば、経営者の夢をしぼませる要因は、いくらだって出てきます。
しかし、経営の目的がカネだけだとしたら、それはあまりに寂しすぎる。
カネを稼ぐのは当然のことながら、情熱を持って続けるためには、やはり社長に夢が、社員に誇りがなければいけない。
②「仕事っていうのは、二階建ての家みたいなもんだと思う。一階部分は、飯を食うためだ。必要な金を稼ぎ、生活していくために働く。だけど、それだけじゃあ窮屈だ。だから、仕事には夢がなきゃならないと思う」
③「長く会社を経営していれば、業績のいいときも悪いときもあります。ですが、これだけはいえる。どんなときも、ウチの財務諸表に記載されている数字は正しい。よければよいなりに、悪ければ悪いなりに、会社の姿を正確に映し出す。そういう財務を目指してきました。資料の数字、どこか間違っていましたか」
いくら夢を追っても、やはり財務は重要なのです。
特に、この小説の会社にも過去に積み上げられた現金が、最後は会社を持ちこたえさせたのです。
自分自身も、夢とお金のバランスを取った経営を目指す必要性を感じました。
皆さんにも是非お勧めの一冊です。