目的と目標”は一見似ていますが、その意味するところはまったく違います。成果を求めるためには、その違いを意識しないと望む結果が得られません。目標とは、目的を達成するためのステップです。「目的」を達成するために目指すべき行動や道筋を示したものが「目標」となります。目的が無いのに目標だけがあることはありえません。目的があってこそ、目標とするものが得られます
目的は概念的なものですが、目標はその目的を叶えるための道しるべとなります。ですから、目標は具体的にクリアできる手段や方法が分るものでなければ、目的までの道筋がたちません。この理屈から、“目標は複数、目的はひとつ”“目標は諦めても、目的は諦めない”ことが分かります。
このような違いを学校では、あまり教えてくれません。そのため学生時代には特に両者の言葉を混同しがちです。良い成績を取ること、良い大学に入ることが、目標であり、目的化してしまいます。受験で失敗して挫折したり、時には命を落とすことなど、目的と目標の違いを知ればありえません。何しろ、“目標は諦めても、目的は諦めない”ですから。
これらの考え方は、診察の際も同じです。患者さんの現在の好ましくない状況を把握します。そこから、未来の好ましい状況を目的としてイメージします。そして目的から逆算して、それに到達するに必要な目標、治療方法、期限を設定し、診療に落とし込みます。結果としては、目標をクリアすることで、目的に到達することができます。この思考過程は、まさにマネジメントであり、経営、研究、医療、ビジネスと分野が違っても同じです。研究者や医師は、マネジメントが苦手と思われがちですが、私がお世話になった2名の優秀な教授は、現在営利企業の代表も兼務しています。昨年、ノーベル賞を受賞された山中教授も、事あるごとに研究費を集めることに奔走されています。このように、医療の世界・研究の世界でも優秀なリーダーはマネジメントの重要性を理解されています。厳しい言い方をすると、マネジメントできない医師は、医療において結果を出せないともいえます。
目的を見失わず目標に向かって努力することで、はじめて成果を得られることになりますので、「目的」と「目標」の違いをしっかり認識して、ビジネスだけでなく診療面でも結果につなげていきたいと思います。