3種類目は、第一三共のメマリー錠(成分名=メマンチン)です。
メマンチンは中等度、高度のアルツハイマー型認知症での認知症症状の進行抑制が効能・効果。世界68か国で承認されており、海外では標準的治療薬の一つとして位置付けられています。
同薬はアリセプトと異なる作用機序(NMDA受容体拮抗薬)を持つため、アリセプトとの併用が可能です。
メマンチンの前提となる考え方は、次のようなものです。
つまり、アルツハイマー病の患者の脳の中ではグルタミン酸が過剰となっており、これがいろいろな悪さをします。
第一に神経の情報伝達がスムーズに行われなくなること。
第二にシナプスの可塑性(LTP)が失われ、ついには神経細胞死をも引き起こすのです。
そこで、レセプターにふたをして過剰なグルタミン酸のシナプスへ流入を防ぐのがこの薬です。
現在、欧米では、アリセプトとメマンチンを併用して服薬するのが標準的な治療法となっています。
特筆すべきことは、メマンチンはアリセプトによる興奮を抑えることです。
認知症は初期から中期では中核症状が中心となります。
しかしMMSEが15点を切る前後で周辺症状(もしくはBPSD)が出現してきます。
現在は、抗精神病薬少量投与や漢方の抑肝散で対応していますが、メマンチンの追加が新しい選択になると思われます。