東京女子医大の看護師さんが娘の心を癒した

東京女子医大の看護師さんが娘の心を癒した

多くの方が病院に入院すると、医師よりも看護師の方々の献身的な看護に感謝の気持ちを持たれます。私自身は医師として34年働き、毎日看護師さんと接しています。当然、看護師さんの患者さんへの心優しい対応は知っていました。

しかし、令和5年4月に私の娘が22歳で奇異性脳塞栓になり救急入院をしました。特に、新型コロナ感染症対策により、面会が一切できない状態では、看護師さんからの情報が唯一の拠りどころでした。その時の看護師さんたちの、心温まる対応には家族は何度も涙しました。今回の記事では、34年間医師を続けている長谷川嘉哉が、改めて看護師さんたちの素晴らしい仕事についてご紹介します。なお、娘の病態については以下の記事も参考になさってください。

1.脳卒中センターの看護師さんが娘を支えてくれた

東京女子医大は日本脳卒中学会指定の「一次脳卒中センター(Primary Stroke Center:PSC)コア」の認定を受けていて、24時間365日体制で急性期脳梗塞に対するアルテプラーゼ(t-PA)静注療法、カテーテルによる血栓回収療法が行われています。

2019年には、脳卒中集中治療に特化したStroke Care Unit(SCU:病床数 9)が設立され、質の高い脳卒中医療が提供されています。私の娘も急性期の約20日間をSCUで過ごしました。SCUはあくまで急性期治療が目的ですから、24時間体制で見守ってくれている安心感はありますが、22歳の娘にとってのストレスは並大抵なものではなかったと思います。そんな娘の心を支えてくれたのが看護師さんたちでした。

2.看護師さんは家族も支えてくれた

コロナ禍においては、家族の面会は一切できません。突然の病気で左上下肢の動かなくなった娘を診察することも、手を握ってあげることも、直接声をかけることもできなかったときは、家族にとって生き地獄でした。

そんな中、毎日30分だけ病院のiPadで娘と話ができることが唯一の救いでした。そのiPadの受け渡しの際に看護師さんが「莉子ちゃん、今日は昨日より手の動きが良かったです」、「莉子ちゃん、夜はきちんと眠っています」、「莉子ちゃん、食事は全部食べています」などの声掛けをしてくれました。その一言がどれだけ家族を支えてくれたかはわかりません。

医療・介護の現場では、患者さんを苗字で呼ぶか、名前で呼ぶかは議論があるところです。しかし、SCUの看護師さんたちが、娘を「莉子ちゃん」と呼んでくれたことは、とても可愛がってくれていることが伝わり、家族としてはとても嬉しかったです。

「看護師さんが、髪を綺麗に結ってくれた」と嬉しそうに報告してくれた姿には、自分たちでは何もしてあげられないジレンマが少し和らいだものです。本当に心から感謝です。

3.看護師さんはリハビリもしてくれた

東京女子医大の医療レベルは申し分なかったのですが、急性期リハビリが日曜祝日に休みであることは残念でした。ゴールデンウイークにかかり、数日間専門のリハビリは行われない事は家族にとっては耐え難いものでした。代わりにSCUの看護師さんたちが、忙しいなか毎日1時間近くリハビリを行ってくれたことには、涙が出るほどの感謝でした。


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4.看護師さんの手紙に家族は泣いた

SCUは本来2週間の期限なのですが、ゴールデンウイークの関係で20日ほど入院させてもらいました。その後、回復期リハビリテーション病院への転院前の5日間ほどは一般病棟に移りました。

一般病棟では、SCUほどの看護師さんたちも関わることができません。そこで娘が寂しい思いをしていないか気にかけてくださり、SCUの看護師さんがわざわざ一般病棟にお見舞いに来てくれました。

残念ながらその時には、娘は検査で不在だったのですが、代わりに手紙を置いておいてくれました。その手紙を見せてもらった時には、家族は本当に涙しました。忙しいなか、貴重な時間をわざわざ娘を見舞いに来てくれる。やはり看護師さんは天使です。

5.回復期リハビリテーション病院の看護師さんにも感謝

回復期リハビリテーションは、初台リハビリテーション病院で2か月ほどお願いしました。突然の病気で時にリハビリに対する意欲・気力を失いかけたこともありました。そんな時には、看護師さんが時間をかけて娘の話を聞いてくれました。お陰で貴重なリハビリ期間を無駄にすることなく取り組むことができました。本当に本当に本当に感謝です。

6.看護師という仕事を築き上げた先人に感謝

今回、家族として看護師さんと接して感じたことがあります。まずは、医療の現場に、治療だけでなく看護の必要性を感じて、看護師という仕事を築き上げた先人に感謝です。そして、そんな素晴らしい看護師という仕事を選んでくれた多くの看護師さんに感謝です。将来、娘は医師として医療の現場に立つ日が来ると思います。患者さんの立場、看護師さんの暖かい気持ちを知った医師になってくれると思います。どうぞ、その時には可愛がってやってください。

7.まとめ

  • 医療の現場は、医師による治療だけで成り立っているわけではありません。
  • 看護師さんによる看護のおかげで、多くの患者さんは救われるのです。
  • 22歳で脳塞栓になり入院リハビリを経験した娘は、患者さんの立場、看護師さんの暖かい気持ちを知った医師になってくれると思います。

 

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