週刊誌ネタで、「名医たちが実名で明かす『私が患者だったら飲みたくない薬』」というような企画は、結構人気があるそうです。効果のある薬は、同程度の副作用があるのは当たり前です。そのため、出来れば薬は最小限にしたいものです。しかし、時に薬が日常生活を快適にする手助けになることもあります。そんな時には、有効に活用したいものです。
今回の記事では、そんな中でも副作用が少なく、活用機会が多くて、よく効くロキソニンの使用方法を、自ら愛用する認定内科専門医の長谷川嘉哉が解説します。
目次
1.ロキソニンとは?
ロキソニンは炎症や痛みを和らげたり、解熱効果のある消炎鎮痛剤です。保険適応薬であり、もともとは医師の診察のもと処方されていました。2010年には、第1類薬のスイッチOTCとして認可されたため、薬局でも購入できるようになりました。
*スイッチOTC:元来医療用医薬品として使われていた成分の有効性や安全性などに問題がないと判断され、薬局で店頭販売できる一般用医薬品に転換(スイッチ)されたもの。
*第1類薬:処方せんなしで購入することのできるOTC医薬品は、リスクの程度に応じて要指導医薬品・第1類医薬品・第2類医薬品・第3類医薬品の4つに分類されます。 なかでも【要指導医薬品】・【第1類医薬品】は、安全性上とくに注意が必要な成分を含むため、薬剤師からの情報提供が義務づけられています。
2.効果がある症状は
ロキソニンは特に以下の症状に効果があります。
2-1.頭痛
通常、血管性の頭痛に対しては、トリプタン系薬剤が効果を示し、筋肉性頭痛にはカフェインを含んだ鎮痛剤が効果を示します。ロキソニンは、血管性・筋肉性頭痛のいずれにもそれなりの効果があります。
実際の頭痛は血管性と筋肉性が混在していることも多く、ロキソニンの効果を試してみることが有効です。実際、私の外来では、患者さんに、トリプタン系薬剤、カフェインを含んだ鎮痛剤、ロキソニンの3種類を常備いただき、症状によって使いわけてもらっています。
頭痛については以下の記事も参考になさってください。
2-2.筋肉痛、関節痛
捻挫をして急激に関節が腫れてきているときや、腰や肩の急性の痛みに対しては、ロキソニンは著効します。服薬すると、30分程度で痛みが軽くなり腫れが治まることが自覚できるほどです。逆に、高齢者が執拗に訴える慢性的な痛みに対しては、効果はあまりありません。
2-3.抜歯後の痛み
歯の治療後の痛みや、抜歯後の痛みに対しても効果を示します。扁桃炎などで喉が腫れている場合も痛みを抑える効果があります。
2-4.解熱目的には使わない
ロキソニンは、解熱鎮痛剤として痛みを抑える目的としては有効です。ただし、感染症の際に熱を下げる、解熱目的ではあまり使用しません。感染症等における熱を無理に下げることは、かえって治療期間が延びると考えられているからです。
3.効果発現、作用時間
ロキソニンを服用するに際しては、服薬後の効果が出る時間、効果が効く時間を知っておくことは重要です。
- 効くまでの時間:15~60分・・報告では、服用後30分後には、半分以上の方に効き目が現れています。
- 効果が続く時間:平均7時間
- 服用間隔:少なくとも3~4時間、できれば6~8時間
4.根本解決ではない
ロキソニンには炎症による痛みを抑え、解熱する効果があります。しかし、痛みが緩和されたとしても、痛む部位の根本的な治療ができたわけではありません。
ですから薬に含まれる有効成分が効かなくなれば、再び痛みを感じるようになります。そのため、炎症そのものを治さなければ痛みは再発します。
例えば、頭痛でロキソニンを飲み、痛みが治まっても、頭痛の原因は治っていません。頭痛の原因が肩こりからくる血行不良であれば、その血行不良を改善しないかぎりまた頭痛を感じてしまいます。抜歯による歯の痛みであれば、抜歯後の傷が治らなければ痛みが再発します。
5.副作用に気をつけながらの効果的な使用方法
さまざまな痛みを緩和してくれるロキソニンですが、副作用も報告されています。
5-1.報告されている副作用
- 皮膚症状:発疹やかゆみ
- 消化器症状:腹痛、胃部不快感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹部膨満感、胸やけ、口内炎、消化不良
- 循環器症状:血圧上昇、動悸
- 精神神経系症状:眠気、しびれ、めまい
- その他症状…胸痛、倦怠感、ほてり、発熱、貧血、血尿
重篤な症状として、アナフィラキシーショックや腎障害を伴う場合もあります。またその他の使用上の注意として、15歳未満、治療中の疾病がある場合、出産予定日まで12週以内の妊婦は使用しないこと、さらに長期で使用しないこと、使用量や使用回数、服用間隔を最低4時間は空けること、などを必ず守って使用しましょう。
5-2.副作用のない薬はない
効果のある薬は、同じだけの副作用があります。副作用のない薬とは、まったく効果のない薬です。ですから、それなりに効果がある薬は必ず副作用はあります。ですから考えられる副作用と、薬の効果を天秤にかけて使用しましょう。
少なくともロキソニンは、副作用があっても大部分は軽微であり、有効性が高いことは我々が医師が臨床でも感じていました。そしてその結果としてスイッチOTCが認められたのです。
5-3.できれば短期もしくは頓服的な使用が安全
ただし、だからと言って1日3回のロキソニンを毎日飲み続けることは感心しません。
急性の関節症や歯科の治療後にやむを得ず、1日3回服用する場合も、長くても1週間程度で休薬しましょう。頭痛などで頓服で服薬する場合も、1日1回程度であれば毎日続けても問題はありません。このような服薬であれば、副作用は殆ど心配はありません。
6.花粉症にも効果?
私は、個人的にはロキソニンを花粉症にも使用しています。花粉症の薬を飲んでいても鼻水が止まらず、倦怠感もひどい時にロキソニン60㎎を1錠飲んでみてください。30分もすると不思議と鼻水、鼻づまりがすっきりします。これは、アレルギー性鼻炎による鼻腔の炎症を取り除くことで症状が楽になるのです。講演前などでどうしても症状を抑えたいときに使っています。
ただし、これは医療的に認められていませんので、裏ワザとしてお勧めですが、あくまで自己責任でお願いします。
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7.まとめ
- ロキソニンは、頭痛・筋肉痛など鎮痛効果に優れています。
- 副作用も軽度であるため、スイッチOTCとして薬局でも購入できるようになりました。
- 長谷川個人的には花粉症の際にも愛用しています。