皆さん、睡眠中に寝返りをした時に、激痛が後頭部に走ったことはありませんか? 実は、私も年に1〜2回睡眠中に経験しています。あまりの激痛に、「このまま死んでしまう」と感じたのですが、そのまま眠ってしまいました。
あとで振り返ると、これが知識としては持っていた「後頭神経痛(こうとうしんけいつう)」であることに気が付きました。外来をやっていても、慌てて受診される患者さんもいらっしゃいます。自分自身が経験して、緊急で受診される患者さんの気持ちもよく分かりました。
今回の記事は、脳神経内科専門医の長谷川嘉哉が後頭神経痛について、その特徴と対処方法をご紹介します。
目次
1.後頭神経痛とは?
後頭神経痛とは以下の特徴を持ちます。
1-1.後頭神経とは?
後頭神経とは、大後頭神経と小後頭神経と大耳介神経の3つを言います。いずれも、首の筋肉の間から、皮膚の表面を走行しています。痛みの部位で、どの神経が原因であるかが検討が付きます。私自身は、痛みが耳の後ろに広がるので小後頭神経痛のようです。
1-2.神経痛とは?
痛みには、筋肉性、血管性、神経性の3つの痛みがあります。それぞれに特徴がありますが、痛みの程度が最も強いのが神経性のいわゆる「神経痛」です。後頭部に生じる場合もきわめて激しい痛みを引き起こしますが、幸い、持続時間は一瞬です。
1-3.後頭神経痛の症状は?
後頭神経痛は、片側の後頭部から頭に向けて、一瞬の痛みが走ります。痛みは、皮膚の表面をピリッと電気が走るようです。私自身は、「電気が走ったような一瞬の激痛」が首から耳の後ろに走ります。一瞬ですから耐えられますが、この痛みが持続したら気を失うほどの痛みと思われます。
2.後頭神経痛の原因は?
後頭神経痛は、首の周辺の筋肉から皮膚表面を走行しているため、筋肉による圧迫を受けやすいのです。そのため、姿勢の悪さ、頚椎の変形、同じ姿勢をとり続けることによる肩こりが誘因となることが多いようです。
3.何科に受診?
痛みがあまりに激烈なため、普通の方は「大きな病気!?」と不安になります。こんな時には、脳神経内科を受診しましょう。脳神経内科医にとってはありふれた病気であるため、きちんと説明をしてくれて、患者さんも安心できます。
4.治療は?
治療には、痛み止めは全く効果がありません。なにしろ、一瞬のため、薬を飲もうとしたころには、痛みは消失しています。痛み止めは全く間に合わないのです。
そのため、頻度が年に数回程度であれば様子観察となります。しかし、週に2〜3回以上の頻度になる場合には、予防的にカルバマゼピン(商品名:テグレトール)を使用します。
5.まとめ
- 神経痛とは、皮膚の表面を走る一過性の激烈な痛みを引き起こします。
- 神経痛が首から頭にかけて起こる病気を、後頭神経痛といいます。
- 激烈な痛みですが、頭の中が原因ではないので心配はありません。