外来をやっていると感じるのですが、患者さんは医師の言葉を都合良くとらえる傾向があります。
例えば、『アルコールを飲んでも良いですが、1日にビール換算で中ビン程度にして下さいね』と説明しても、『アルコールを飲んでも良いです』だけ理解してしまいます。
『あなたは糖尿病です』と説明しても、『自分は糖尿病の気がある』と勝手に、○○の気にしてしまいます。
そのため健康情報を取得する際には、正確にとらえる必要があります。
一時、“ココアが糖尿病に良い”というブームがありました。
ココアに抗酸化作用があることは事実ですが、この場合のココアは糖質の含まれていないことが前提です。
日本で通常売られているココアには多量!の糖分が含まれています。
そのため糖分の含まれたココアをたくさん飲んで、糖尿病を悪化させてしまった患者さんが結構いたものです。
医師としてそんな不安を感じる本が、最近ご縁を頂いている経済界さんから出版された『糖尿病は栄養をとれば健康に戻るby笠原友子』です。
誤解の無いように申し上げますが、この本の内容は正しいものです。
実際に外来でも、それほど太って見えないのに糖尿病である方は結構見えるものです。
そのような方には、この本に書かれていることを実践することをお勧めします。
しかし、本でも何度も説明されているのですが、カロリーの取り過ぎで糖尿病になっている人は対象ではないのです。
具体的には、BMI(体格指数=体重㎏÷身長m÷身長m)が男性で25、女性で30を超えている方は、カロリーを減らすことを第一にするべきなのです。
ここで最初に申し上げた、都合のよい患者さんが不安になるのです。
本来は、BMIが高くて食事を減らすべきなのですが、本の題名だけからサプリメントを加えた食事量を増やしてしまい、結果として糖尿病を悪化させる方がきっと出てくると思います。
何度も申し上げますが本の内容は間違いありません。
BMIが22以下なのに糖尿病のコントロールが悪い方には是非お勧めの本です。