お金持ちが使う裏ワザ 「世帯分離」

2015-05-20

特別養護老人ホームの中には、年金額、年齢や家族構成、世帯年収も同じなのに1ヵ月の介護費用が合計でAさんは5万1300円、Bさんは13万5500円と差があることがあります。その謎を解くキーワードが、住民票の「世帯分離」です。介護保険では、利用者は実際に利用した介護費用の1割を自己負担します。ただし、収入によっては1割でも支払いが厳しいこともあります。そのため、1ヵ月の自己負担額は収入に応じた限度額が設けられており、それが高額介護サービス費です。高額介護サービス費の自己負担限度額は、所得に応じて次のように4段階に分かれています。

たとえば、1ヵ月に利用した介護保険の自己負担額が3万5000円の場合、第4段階の人は還付を受けられませんが、第2段階の人の限度額は1万5000円なので、申請すれば差額の2万円を払い戻してもらうことができます。ここでポイントになるのが、「世帯全員が住民税非課税」という点で、同居する家族の収入も合算して計算されることです。介護を受けている本人の収入が国民年金の年額78万円だけなら、住民税は非課税、同居の家族がいなければ第2段階です。しかし、同居している他の家族に住民税が課税されるだけの収入があると第4段階です。介護利用者本人の収入は同じでも、同居する家族の収入によって介護費用が大きく変わるのです。                                                             そこで、親の介護費用を節約するために、現実的に行われているのが「世帯分離」という手段です。通常、同じ住所で暮らす家族は、同一の世帯員として住民票に記載されます。しかし、子どもが結婚して新たに所帯を持った場合などは、世帯を分けて住民登録することは可能です。そのため住民票上の世帯分離をすることで、基準になる収入が、高齢者ひとりのものとなり第2段階と判断されることもあるのです。その結果、高額介護サービス費の限度額が1万5000円に引き下げられるのです。                                                                 介護費用の1割以外にも、部屋代や食費でも、この利用者負担段階に連動して限度額が決まります。その結果、すべてを合算すると、6割の差になるのです。患者さんを診ていても、不思議とお金持ちほど「世帯分離」の仕組みを知って、うまく利用されています。

 

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